Topic | Korean Hiphop Awards 2017 結果発表


※これまでの韓国ヒップホップのアワードに関する全記事はこちら

2017年1月に発足が発表された『Korean Hiphop Awards』の受賞者が2月27日に公開されました。受賞者は、選定委員による投票(70%)とネット投票(30%)の結果を総合して選定されたということですが、ネット投票にはなんと8万票も集まったそうで、韓国でのヒップホップへの関心の高さに改めて驚かされました。

全部で9部門が用意されています。各部門にノミネートされた候補者や作品については、こちらの記事「Topic | Korean Hiphop Awards 2017 投票受付開始」にてご確認ください。

では各部門の受賞者を見ていきましょう。『Korean Hiphop Awards』の公式ページに掲載されていた文章を翻訳したものも合わせてご覧ください。このページの一番下には、2月27日にYouTubeで放送された授賞の動画も貼ってありますので、ぜひ合わせてご覧ください。受賞者のインタビューやパフォーマンスも観られますよ!

 


 

1. 今年のアーティスト

Jay Park

Jay Parkが最初にAOMGを設立した当時は、疑問のほうが上回っていた。彼がそれまで歩んできた路線として、「ヒップホップ・アーティスト」というタイトルを付けるには客観的に不足しており、レーベルのカラーや所属する者の音楽性も不明だった。しかしそれから数年後、AOMGはヒップホップシーンの最前線に立つ巨大な集団に成長した。そしてその中心にはいつもJay Parkがいた。今やJay Parkは、『EVOLUTION』と『WORLDWIDE』で音楽性と象徴性を同時に獲得するレベルにまで昇りつめた。2016年に発表した『Everything You Wanted』も同様だ。彼はメインストリームのR&Bからサブ・ヒップホップまで幅広い領域を自由自在に扱い、自身の強みをはっきりと見せている。2016年のJay Parkは誰よりも速く、鋭く、音楽的な力量を見せてくれた。彼は間違いなく多才なブラック・ミュージックのアーティストとして、現在最高の株価を誇っている。

 


 

2. 今年の新人アーティスト

Justhis

2016年はJusthisにとって、劇的なターニングポイントであったと言えよう。これまでは単に「優秀な新人」という評価だった彼だが、2016年には大きな逆転ドラマを見せた。デビューアルバムである『2 Many Homes 4 1 Kid』は、Justhisが通常のポテンシャル以上の何かを持ったMCであることをはっきりと証明した作品であり、独自の叙事とひねったニュアンスを通して演出力を最大限に発揮した。『MIC SWAGGER』への出演もそうだ。彼が発した刺激的なヴァースは、あらゆる意味で大きな波及効果をもたらした。どことなく怨念がこもって怒りに溢れたような叫びは、アンダーグラウンドのファンがひっそりと隠していた粘っこい情緒を刺激し、Justhisの名前が刻まれる決定的なきっかけとなった。Justhisは2016年に最も刺激的であったと同時に、最も熱かった新人アーティストだ。

 


 

3. 今年のヒップホップ・アルバム

Nucksal – 작은 것들의 신(小さきものたちの神)

Nucksalに対する期待値がどのくらいなのかは不明だが、少なくとも『작은 것들의 신(小さきものたちの神)』はそれ以上を見せてくれた作品だろう。テクニカルなパフォーマーとして認識されてきたNucksalだが、本作ではミュージシャンが通常備えるべき壮大な構造と文学的な悲哀、主人公としての掌握力までを見事に披露している。アンダーグラウンドのラッパーとしてのプライドが込められた『팔지 않아(売ってない)』、日常生活の価値を表した『밥값(食費)』、分割された壮大な構造の物語を提供した『ONE MIC』が代表的である。愉快さと重々しさという相反する要素を的確に表現しながら、誇張のない日常を解きほぐしたNucksalのストーリーテリングは、アルバムの最大の醍醐味であると同時にドラマを作る上で重要なキーワードだ。良い意味で『작은 것들의 신(小さきものたちの神)』は今年最も庶民的なアルバムであった。

 


 

4. 今年のヒップホップ・トラック

BewhY – Forever

前半と後半のビートが異なる構成は、一般的に見て難しい。作ることも難しく、ミュージシャンが消化することも難しい。しかしBewhYはこのような曲の流れをおもちゃで遊ぶように扱い、ひとつの完全なトラックに作り上げた。キレのある発声と強固な発音、曲の流れを気ままに変えるフローまで。このトラックでBewhYはラップが持てる限りの最高の姿を見せた。『영원히 비와(永遠に雨が降る)』と叫ぶBewhYの現在と未来を同時に期待することができるトラックだ。

※「永遠に雨が降る」の「雨が降る」の部分は発音が「ビワ」なので、BewhY(ビーワイ)の名前と音が似ていて「永遠にBewhY」のようにも聞こえる

 


 

5. 今年のR&Bアルバム

Jay Park – Everything You Wanted

WORLDWIDE』と『Everything You Wanted』は、まるで2つの領域にまたがるJay Parkが枝分かれし、最大化されたようなアルバムだ。前者が数多くのゲストと共に膨大な量のラップを吐き出したものなら、後者はゲストとの連携ではなく、Jay Park自身がシンガーとして出すことのできる様々な魅力を集中的に表現したものだ。だから『All I Wanna Do』や『Me Like Yuh』のようにトレンディなタイプのトラックもあるが、『Limousine』のようなレトロな傾向のトラックもある。ウィットと重々しさがポイントの『사실은(実は)』や『곁에 있어주길(そばにいてほしい)』、トラップに焦点を当てた『Alone Tonight』や『Only One』も外せない。何よりもCha Cha Maloneによるハイファイなプロダクションはアルバムの均一なクオリティを保証しており、いかなる欠陥もないという点でもこのアルバムは特別な存在である。以前からもそうだったが、Jay Parkが韓国語の歌詞を巧みに消化している点は特筆に値する。彼のラップへの興味が薄れたとしても心配することはない。大衆はこのアルバムで「R&Bシンガー・Jay Park」に望むものすべてを十分に得た。

 


 

6. 今年のR&Bトラック

DEAN – D (half moon) (Feat. Gaeko)

今ふとDEANの音楽キャリアを振り返ってみると、彼は早いうちから国内の新人R&Bスターが誕生することを予告していたようだ。EP『130 mood : TRBL』が発売されるまでの状況を見れば、DEANはすでにSNS上でのクチコミ、国内外の媒体や実力派アーティストのサポート、テレビ出演などでスタートから展開までのストーリーを着々と進めていた。『D (half moon)』は多くの人がDEANの次のストーリーを期待していた中、チェックメイトを叫ぶことができたカードだった。この曲は彼のそれ以前の成果物よりも、一部のR&Bアーティストを通して証明されたある種の成功形式に近いと言える。彼はその形式を下地にし、自分の持つ才能と能力を完璧に表現した。『D (half moon)』は、DEANがさらに幅広い層から愛されることになる決定的な理由であった。

 


 

7. 今年のプロデューサー

GroovyRoom

有能なプロデューサーの躍進が目立った2016年であったが、その中でもGroovy Roomは圧倒的に際立っていた。ジャンルの領域を問わず、ハイレベルなメイキング能力を披露したという点でだ。意図していたのか、していないのか、彼らはアンダーグラウンド・ヒップホップからメインストリームの歌謡市場にまで足を伸ばし、幅広い活躍を見せた。Owen Ovadozの『City』やBlock B Bastarzの『Selfish & Beautiful Girl』を1年のうちにヒットさせたという事実がこれを立証している。いつの間にか彼らは独自のキャラクターサウンドを持つチームに成長した。Groovy Roomがトレンドをつかむ速度は、他の誰よりも半歩先を行っている。

 


 

8. 今年のコラボレーション

LIVE, Sik-K, Punchnello, Owen Ovadoz, Flowsik – EUNG FREESTYLE

ビジュアルプロダクション「Dream Perfect Regime」のプロジェクト曲である『EUNG FREESTYLE』は、2016年のホットなラッパーたちをひとつに束ねた。各ラッパーがGroovyRoomのオリエンタルなビートに合わせてジャグリングするようにラップを交わした。2016年のホットルーキーたちが一斉に集まり、フックなしで2分間に渡ってラップをする音楽を「今年のコラボレーション」に挙げなければ、何を挙げるというのか。それぞれのヴァースを集めたオムニバス形式ではないという意味は、何よりも大きい。

 


 

9. 今年の過小評価されたアルバム

Sleeq – Colossus

あらゆる意味で、韓国ではとっくに出てなければいけなかったようなアルバムではないだろうか。多様なプロダクションによる独特な雰囲気、一貫性のある流れの叙事、アルバムの最初から最後まで着々と進めていくラップ、そしてSleeqの語るユニークな話まで、この作品はそれなりの格好良さと堅固さを同時に兼ね備えている。Sleeqというラッパーの存在感とキャラクターだけでもファーストアルバムは価値があるが、今後もより良い叙事、より欲が感じられる歌詞を披露してくれることを期待させてくれる作品でもある。

 


 

10. KHA NEXT WITH MILK

Penomeco、LIVE、Mac Kidd、pH-1、O3ohn

※こちらは特別賞のような枠で、『Korean Hiphop Awards』とスポンサーの「MILK」によって選定された今後の有望株です。

 


 

こちらは2月27日の21:00~より『Korean Hiphop Awards』の公式YouTubeで放送された映像です。受賞者のインタビュー(英語字幕付き)やライブ・パフォーマンス映像などを観ることができます。

 

出所:Korean Hiphop Awards
日本語訳:Sakiko Torii

 

Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者。イギリスでの音楽留学経験を生かした音楽的に深みのある記事が売り。独自スタイルのライブ企画、楽曲リリースのコーディネート、ライター活動、各種メディア出演など、韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。別名ヴィヴィアン。
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