Simon Dominicの新作『火気厳禁』参加アーティスト10人を紹介![後編]

Written By soulitude

※前編からの続きです
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Simon Dominicの新作『火気厳禁』参加アーティスト10人を紹介![前編]

 

ウ・ウォンジェ

Simon Dominicの最新EP『화기엄금(火気厳禁)』はフィーチャリングとしてかなり多くのアーティストが参加しているが、Simon Dominicのファンにとっては見慣れない名前が少なくないと思われる。その理由は、彼が所属する「AOMG」やその兄弟レーベルである「H1GHR MUSIC」のメンバーがたったひとりしか参加していないからだろう。そのひとりというのが『GOTT』にヴァースを加えたウ・ウォンジェだ。

[MV] Simon Dominic – GOTT (Feat. MOON, ウ・ウォンジェ & Jvcki Wai)

 

日本では「Woo」名義でも知られるウ・ウォンジェは、AOMGの最も新しいメンバーであり、レーベルが積極的に迎え入れた人材でもある。彼が最初に注目を集めたのは『SHOW ME THE MONEY 6』に出演した時のこと。ファイナルまで進出した彼は優勝こそ果たせなかったものの、独特のダークなキャラクターと充実したラップスキルで好評を得た。その人気の高さは番組終了後にリリースした『시차(時差)』というシングルがチャート1位を獲得したことからもうかがえる。同トラックにAOMG所属のLOCOとGRAYがフィーチャリングで参加したことが、レーベル加入のきっかけとなった。

[Official Audio] ウ・ウォンジェ – 시차(時差)(Feat. LOCO & GRAY)

 

Simon Dominicとウ・ウォンジェの関係は単なるレーベルメイト以上のものだ。Simon Dominicがウ・ウォンジェに電話をかけ、泣きながら長い話を交わしたこともあったという。今回のEPにそのような後輩が参加することになったのも、当然の流れだったのかもしれない。この2人の組み合わせがさらに気になる人は、今年3月にリリースされたウ・ウォンジェのシングル『SS』も聴いてみてほしい。『GOTT』とは全く違うメロウなムードのトラックで、同じくAOMG所属のR&BシンガーHoodyも参加している。

[Official Audio] ウ・ウォンジェ – SS (Feat. Simon Dominic & Hoody)

 

 

Jvcki Wai(ジャッキーワイ)

Jvcki Waiはレーベル「Indigo Music」に所属しているラッパーだ。オートチューンを活用してユニークなメロディーをシンギングラップで歌う。サイバーパンク的なコンセプトと充実したスキルで、ここ数年最も注目を浴びている女性ラッパーのひとりだ。EP『화기엄금(火気厳禁)』では、ウ・ウォンジェと同じく『GOTT』というトラックに参加している。今回はオートチューンを使わず生の声でラップを披露しているが、彼女の場合はオートチュンを使うのが普通なのでとても新鮮に感じられる。

[MV] Jvcki Wai – Anarchy

 

Jvcki Waiは当サイトのプロフィールページでも紹介している通り、2013年にラッパーのFanaが開催したフィメールラッパーのコンペティション『GALmighty』で優勝して活動を始めた。2015年、Futuristic Swaverとのコラボミックステープ『Life Sucks』がヒップホップマガジン「HIPHOPLE」のミックステープアワードで受賞し、2016年にデビューEP 『EXPOSURE』をリリース。2017年には2nd EP『Neo EvE』でさらに進化したスキルを披露し、明確なアイデンティティーを確立した。そして2018年、当時韓国ヒップホップシーンで最もフレッシュなラインナップを組み立てていた「Indigo Music」に加入。同年には日本人プロデューサーPARKGOLFとのコラボシングル『xaradise』もリリースした。

[MV] PARKGOLF × Jvcki Wai – xaradise

 

Indigo Musicに加入したことでさらなる推進力を得たJvcki Waiは、同年レーベルのコンピレーション『IM』に参加。さらに1stアルバム『Enchanted Propaganda』を発表し、そのリリースパーティーも成功させた。2019年に入っては「Dingo × Indigo Music」コラボプロジェクトとしてリリースされた『띵(ティン)』でチャート1位を獲得するなど勢いは増すばかりである。

[MV] Jvcki Wai, Young B, Osshun Gum, 한요한 – 띵(ティン)

 

 

MOON(ムーン)

MOONはPENOMECOなどを擁するレーベル「MILLION MARKET」に所属しているR&Bシンガーソングライターだ。ウ・ウォンジェ、Jvcki Waiと共に『GOTT』にフィーチャリングした。彼女としては珍しくラップのような歌い方を披露し、Simon Dominicのスキルフルなラップから空気を一度転換する役割を果たした。

[MV] MOON – MILLION (Feat. Dok2)

 

MOONはまだデビューして1年も経っていない新人で、リリースもまだ多くはない。しかしその一つ一つがインパクトのある作品であることは間違いない。去年10月にリリースしたデビューシングル『MILLION』にはIllionaire Records のDok2を迎え、デビュー作とは思えないほど高いクオリティのトラックを作り上げた。その後はSik-K、BOYCOLDなどのアーティストの楽曲に参加するなど活動を続け、つい先月にはSik-Kを迎えた2ndシングル『Day n Nite』をリリースしたばかりだ。

[Official Audio] MOON – Day n Nite (Feat. Sik-K)

 

『GOTT』で初めてMOONの歌声に触れた人は、彼女のソロ作品を聴いたら全く違うスタイルの歌い方に驚くことだろう。今回の『GOTT』への参加は、従来のリスナーにとって彼女の幅広いスタイルを体験できる新鮮な機会となった。

[Official Audio] BOYCOLD – Simple (Feat. george, MOON)

 

 

YUMDDA(ヨムタ)

『화기엄금(火気厳禁)』の『POSE!』というトラックに参加したYUMDDAは、現在の韓国ヒップホップシーンで最も話題の的となっているアーティストのひとりである。トレンド先端の音楽だけでなく、YouTubeでのコミカルな映像や個性あふれる口癖などがインターネット・ミームとなり、大きな人気を獲得。YUMDDAとSimon Dominicは同い年で古くからの友人だが、コラボレーションは今回が初めてだという。

[MV] Simon Dominic – POSE! (Feat. YUMDDA)

 

YUMDDAが活発に活動するようになったのはここ数年のことだが、デビューはそこから10年遡る。2006年にシングル『Where Is My Radio』でデビューしたものの、当時はあまり注目されなかった。その後、当時韓国で一番人気だったバラエティー番組『無限に挑戦』に出演したり、MTVの『Most Wanted』という番組のVJを務めたりするなど、バラエティー方面で活躍していた。

[MV] YUMDDA – 돈 Call Me(カネ Call Me)

 

そんな彼にとってアーティストとして大きなターニングポイントとなったのが、デビュー10年目となる2016年にリリースされた1stアルバム『살아숨셔(息づく)』である。この1枚でトレンドのスタイルに自身の体験を込めることに成功。その後は2017年7月にアルバム『MINA』を、そして今年1月にはアルバム『살아숨셔 2(意味:息づく 2)』をリリースするなど旺盛な活動を広げてきた。フィーチャリングとしても大活躍するなど、今の彼はキャリアハイの真っ只中にいると言えるだろう。そんな彼がついに旧友のアルバムに参加したというのは感動的な場面でもある。

[MV] YUMDDA – zoom

 

 

Leellamarz(リーラマーズ)

Leellamarzは今年6月に「Ambition Musik」に新しく加入したラッパーだ。『화기엄금(火気厳禁)』では『room type』というトラックに参加している。しかしお気付きのように、彼の声は全く登場しないし、プロデュースはGooseBumpsが全トラックを手掛けている。ではLeellamarzは一体『room type』でどのような役割を果たしているのだろうか。

[Official Audio] Simon Dominic – room type

 

トラックを聴いてみると、終盤にバイオリンの音色が聞こえる。そのバイオリンの音色こそが、Leellamarzの演奏なのだ。驚く人もいるだろうが、彼は幼少期からバイオリニストとしてのエリートコースを歩んできた。高校1年生の時に韓国で最も優秀な芸術大学のひとつである韓国芸術総合学校に進学し、国内外のコンクールでも多数入賞。マンハッタン音楽学校では全額奨学生として修士まで獲得した。その事実が知られた時は「クラシック界の有望株がヒップホップアーティストになった」と話題になったが、本人はバイオリニストを辞めるつもりもなく、ラッパーとバイオリニストの両方で活動していくと言っている。バイオリニストとしては本名のキム・ミンギョムとして活動している。

[Live] キム・ミンギョム – Saint Saens Introduction and Rondo Capriccioso

 

彼は優秀な演奏者であると同時に、ものすごいスピードでアルバムやシングルをリリースするラッパーでもある。リリース量が多いからと言ってクオリティが劣ることもない。2015年にミックステープ『예술의 전당(芸術の殿堂)』で活動をはじめ、『SHOW ME THE MONEY 5』にも出場したりしたが、本格的なリリースラッシュをスタートさせたのは2017年7月の1stアルバム『Y』からである。それから約2年の間に自身の名義で90曲をリリースし、フィーチャリングなどを加えると100曲は軽く超える旺盛な創作活動を広げている。Leellamarzの、そしてキム・ミンギョムのこれからの活動にも要注目だ。

[Official Audio] Leellamarz – AMBITION (Feat. ASH ISLAND, キム・ヒョウン, Hash Swan, CHANGMO)

 

writersoulitude

ポピュラーミュージックを専門とするライター。日韓の両国で記事執筆、歌詞や記事の翻訳、音源の流通などの仕事をしている。多様なメディアを通じて日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。



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