JUSTHISが引退を発表

Written By soulitude

なぜ韓国アンダーグラウンド話題の新星は引退を決意したのか

Indigo Music所属のラッパーJUSTHISが、11月23日に開催された2度目のソロ・コンサート『JT2de: Re: Tried.』で引退を発表しました。現世代の韓国アンダーグラウンド・ヒップホップを代表するラッパーのひとりである彼の引退宣言に、多くのリスナーが驚きと戸惑いを隠せずにいます。

参考記事

 

JUSTHISはここ数年、アンダーグラウンド・ヒップホップシーンで最も注目を集めたラッパーのひとりです。2010年から活動を始めた彼は、Okasian、JJK、P-typeなど名だたるラッパーとコラボレーションし、2013年にはMad Clownと共に「CommonCold」というチームを結成したこともあります。2014年にはミックステープ『Money Vs. Love: Dream (MVLD) 』が「HIPHOPPLAYA Awards 2014」で「今年のミックステープ」に選ばれるなど、シーンの中ではかねてより高く評価されてきました。所属レーベルのないインディペンデント・アーティストである上、テレビ番組などメディア出演もしたことがなかったため、一般大衆の間では知名度が高くありませんでしたが、ヒップホップファンの間ではその実力の高さが着々と広まっていきました。

[MV] JUSTHIS – Welcome to My HOME (Remix)

 

JUSTHISが本格的に話題になったのは、2016年に発表したデビューアルバム『2 MANY HOMES 4 1 KID』が旋風を巻き起こしてからです。シーンのプレイヤーとリスナーの両方から絶賛の声が多くあがり、その翌年には、韓国最大のヒップホップウェブマガジン2社である「HIPHOPLE」と「HIPHOPPLAYA」が共同開催した『Korean Hiphop Awards 2017』で見事「今年の新人アーティスト」に輝きました。そして同年8月、有望な新鋭アーティストを集めたレーベルIndigo Musicに加入し、2018年3月にはHi-Lite RecordsのCEOであるPaloaltoとコラボ・アルバム『4 the Youth』をリリースしました。

彼のラップが高く評価されている理由は様々ですが、個性的なトーンと派手なスキル、そして厭世的な価値観を込めた鋭い歌詞などが挙げられます。そのような部分こそがThe Quiett、Huckleberry P、CODE KUNST、GroovyRoom、Hwajiなどの一流アーティストたちからフィーチャーリングに起用されるなど、引っ張りだことなった理由だと言えるでしょう。攻撃的な言動でほかのラッパーと衝突したこともありましたが、そこも含めて「堂々とした実力派ラッパー」という彼のキャラクターは韓国ヒップホップ・シーンの中でも特殊なものでした。

[Live] Huckleberry P, JUSTHIS & EK – One of Them

 

このように順調にキャリアを積み上げていくなかで、JUSTHISはなぜ引退を決心したのでしょうか。JUSTHISは引退を発表したソロコンサートの最中、楽曲と楽曲の合間にMCでその感情を打ち明けました。自身のキャリアの時系列に沿って楽曲を披露しながら、そのアルバムや楽曲を作った頃に感じたことやエピソード、創作意図などをファンと共有することで、今の無気力な状態に至るまでのプロセスを一緒に歩みたいという意図だったそうです。

それらのプロセスを経て達した地点で、彼はスキルフルなラッパーとしてのイメージのために自身の歌詞がまともに受け入れられないこと、歌詞の構成やメッセージに全力を注いでもそれをちゃんと理解しないリスナーの態度、そしてそのような環境で創作活動をしながら溜まっていった無力感が彼を引退に導いたと語りました。そしてライブの2日後、JUSTHISはツイッターを通して「みんなに俺の無力感を伝えるためのコンサートだったし、それこそが企画した理由だったけど、あまりにも成功しすぎた。無気力すぎて死にそうだ」と改めて心境を述べました。

[MV] JUSTHIS & Paloalto – Switch

 

しかしJUSTHISは、その場ですぐに引退をしたというわけではありません。JUSTHISはコンサートのなかで、おそらく引退作品となる次のアルバムについても言及しました。そしてその翌日に開催されたHuckleberry Pのソロコンサート『焚身8』にもゲストとして姿を現しました。いつまで活動を続けるのかは知らされていませんが、引退の意思を表明したことだけは確かです。

韓国のアンダーグラウンド・ヒップホップシーンを象徴するようなラッパーのひとりがシーンを去るのは残念ですが、それを宣言する際にこうやってシーンを大きく騒がせるというのも非常に彼らしいと言えます。これからどんな道を歩んでも、もしくは引退を翻すことがあっても、JUSTHISの今後の活動に注目していきたいです。

[Official Lyric Video] JUSTHIS & Paloalto – Cooler Than the Cool (Feat. Huckleberry P)

※『Cooler Than the Cool』の歌詞の翻訳はこちら

 

writersoulitude

日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。

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