Topic | HIPHOPPLAYA Awards 2014 結果発表


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※これまでの韓国ヒップホップのアワードに関する全記事はこちら

お待ちかね、毎年恒例のHIPHOPPLAYA Awardsの結果が今年も発表されました。毎回、各受賞項目のあとに解説やらインタビューやらが掲載されているのですが、なぜか今回は結果だけがシンプルに発表されました。人手が足りなかったのか、そういう方針に変えたのか謎ですが、ちょっと寂しい気もするので私が勝手にコメントをちょいちょい入れてみました。

今回はいつも以上に同じ名前が繰り返し出てきたように感じます。実際はもっと多様なアーティストが多様な音楽を提供していたはずなのですが、ちょっと票が偏ってしまいましたね。今後ヒップホップの大衆化が進めば、ますます人気が偏っていくことが考えられます。面白みのあるアワードでいてほしいので、ファン投票に至る前のノミネートをもう少し吟味してもらえるといいかも。ちなみに今回のノミネートはこちらです。

 


 

1. 今年のアーティスト

Dok2

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1位:Dok2 (26.56%)
2位:B-Free (17.77%)
3位:Swings (15.69%)

昨年受賞したSwingsは3位へ。代わりに今年はフィーチャリング活動が活発なだけでなく、『Show Me The Money』での活躍や『연결고리(つながり)』のヒットなどを通して芸能活動も盛んになってきたDok2が受賞しました。2位を獲得したB-Freeはアルバム『Korean Dream』が韓国大衆音楽賞で「最優秀ヒップホップアルバム」を受賞しましたが、2014年の活躍は目覚ましかったですね。

 


 

2. 今年の新人アーティスト

Loco

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1位:Loco (23.25%)
2位:Don Mills (22.60%)
3位:Mayson The Soul (17.89%)

Locoは一体いつまで新人扱いなのでしょうか(爆) 2012年に放送された『Show Me The Money』で優勝したときは間違いなくルーキーでしたが、その翌年である2013年も順調に活動を続けていたし、確かに2014年はAOMGでより一層活躍したとは思うけど、むしろもう3年目の貫録みたいのがあったので今さら新人扱いは解せないです。僅差で負けたDon Millsが実質1位と言っても良いのではないでしょうか。

 


 

3. 今年のフィーチャリング・アーティスト

天才ノチャン

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1位:天才ノチャン (31.74%)
2位:Crush (18.21%)
3位:Beenzino (16.04%)

CrushやBeenzinoのほうが幅広いフィーチャリング活動を繰り広げていたように感じますが、ノチャンのJust Music 内での活躍が大変目覚ましかったので、それが票に大きな影響を与えたのではないかと思います。特にVascoの『Don』などは人気が高かったですね。

 


 

4. 今年のアルバム

Just Music – 파급효과 (波及効果)

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1位:Just Music – 파급효과 (波及効果) (26.56%)
2位:Illionaire Records – 11:11 (25.08%)
3位:B-Free – Korean Dream (17.38%)

私のように古い人間はCDで発売されないといまいち盛り上がらず、音源のみだとベータ版のように感じてしまうのですが(私だけ?)、1位を獲得した『波及効果』はデジタルリリースだけだったにも関わらず、2014年の韓国ヒップホップ界をかなり熱く盛り上げましたね。リリース後しばらくの間は、このアルバムジャケットもあちこちで見かけました。個人的には、ノミネートされている中ではChaboomが一番好きでした。

 


 

5. 今年のプロデューサー

天才ノチャン

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1位:天才ノチャン (45.16%)
2位:GRAY (23.02%)
3位:Coke Jazz (10.01%)

ノチャンが2年連続でプロデューサー部門を受賞しました。しかも2位のGRAYをかなり引き離して半数近い票を獲得しています。フィーチャリングの受賞結果はちょっぴり不服だけど、こちらは私も完全同意。名前の通り天才だと思うし、この受賞は文句ないでしょう。もちろんGRAYやCoke Jazzも素晴らしい才能の持ち主ですが、他の部門の結果を見てもやはり今はJust Musicが一番きてるのだと感じさせられます。

 


 

6. 今年の曲

Illionaire Records – 연결고리 (つながり) (YGGR)

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1位:Illionaire Records – 연결고리 (つながり) (YGGR) (Feat. MC Meta) (18.90%)
2位:Black Nut – 100 (Feat. 天才ノチャン) (8.10%)
3位:Huckleberry P – 무언가 (無言歌) (Feat. Ignito, MC Meta) (5.86%)
3位:B-Free – My Team (Feat. Reddy, Okasian, Huckleberry P, Paloalto, Keith Ape) (5.86%)

これはもう人気のレベルで言ったら1位を受賞した『연결고리(つながり)』で間違いないですね。この曲は、どのアワードであっても「2014年の曲」というタイトルにふさわしいのではないかと思います。しかし個人的には、この4曲の中だったら2位を獲得したBlack Nutの『100』に一票を投じたいですね。100人のラッパーの名前で韻を踏むという、馬鹿馬鹿しいような、素晴らしいような、彼にしかできない曲だったと思います。

 


 

7. 今年のミュージック・ビデオ

Epik High – Born Hater

1位:Epik High – Born Hater (20.48%)
2位:Just Music – 더 (もっと) (10.30%)
3位:B-Free – 기억해 (覚えてる) (I Remember) (6.55%)

これもまた文句なしの1位ですね。『Born Hater』は曲だけ聴いてもかっこいいですが、やはりミュージックビデオを観てなんぼかと思います。Epik Highのほか、フィーチャリングしたBeenzino、Verbal Jint、ソン・ミノ、Bobby、B.Iの全員が出演しています。立ち位置が様々なラッパーたちの個性が、歌詞、ライム、フロウ、モーションなどあらゆる角度から堪能できる贅沢な曲とビデオです。3位のB-Freeのビデオには、結婚したての奥様の後ろ姿が映っています。

 


 

8. 今年のR&Bアーティスト

Crush

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1位:Crush (44.17%)
2位:Zion.T (22.60%)
3位:Taeyang (12.12%)

去年はBumkeyに1位の座を譲って惜しくも2位に終わったCrushが、今年の受賞者となりました。2014年には初めてのソロアルバムもリリースされ、歌番組でも好評を得て一気に大衆的な存在へと出世したCrush。歌よりも何よりも、垢抜けるスピードが尋常じゃないところに一番注目しています。

 


 

9. 今年のコラボ

Born Hater

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1位:Epik High – Born Hater (Feat. Beenzino, Verbal Jint, B.I, Mino, Bobby) (11.71%)
2位:Illionaire Records – 연결고리 (つながり) (Feat. MC Meta) (8.68%)
3位:DJ Premier X Dynamic Duo (7.67%)

うーん、これは何とも言い難い。個人的には3位のコラボが一番衝撃的だったし、一番拍手をあげたいものなのですが、すごいコラボだった割に盛り上がりに欠けたのも事実。1位の『Born Hater』もコラボとしては本当に贅沢だったし、楽曲やミュージックビデオの完成度としても文句なしの名作だと思うのですが、豪華すぎるのが逆に面白みに欠けるような気もするんですよね。『연결고리(つながり)』はヒットもしたし、人気があること自体は分かるんだけど、意外性は皆無だし。っていう、どうでもいい個人的な感想でした。

 


 

10. 今年のミックステープ

Justhis – Money Vs. Love: Dream (MVLD)

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1位:Justhis – Money Vs. Love: Dream (MVLD) (12.83%)
2位:Iron – IXTAPE (7.16%)
3位:Donutman – Young & Lifted (3.70%)

ミックステープはそこまで本気で聴いているほうではないので、この部門についてはノーコメントで!(笑) しいて何かコメントするとしたら、Justhisは今一番の有望株かなあと感じています。

 


 

11. 今年のヒップホップコンサート/フェスティバル

Huckleberry P – 분신 (焚身:ブンシン)

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1位:Huckleberry P – 분신 (焚身:ブンシン) (34.92%)
2位:HIPHOPPLAYA SHOW (13.69%)
3位:Illionaire Records 単独コンサート (8.46%)

大人気のHIPHOPPLAYA SHOWを抜いて、堂々の第1位に輝いたのはHuckleberry Pの『焚身』でした。このライブシリーズはブランド力もつけたという点で、アンダーグラウンド・シーンの中では希少な存在なのではないかと思います。毎回チケットも瞬時に完売しています。日本にもそういう歌手やバンドはいますが、音源の売上はそこそこでもライブチケットの入手が難しいアーティストというのは、それだけパフォーマンスの実力が高く評価されているということです。

 


 

12. 今年のアルバムジャケット

Just Music – 파급효과 (波及効果)

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1位:Just Music – 파급효과 (波及効果) (26.30%)
2位:Illionaire Records – 11:11 (10.15%)
3位:B-Free –  Korean Dream (7.84%)

「今年のアルバム」の項目にも記載しましたが、このジャケットは本当に頻繁に目にしました。リリースからしばらくの間、韓国ヒップホップについて調べものをしていると必ず目に入ってきたものです。それにしても本当に2014年はJust Musicの活躍が目覚ましかったことを感じさせられますね。数多くの受賞、おめでとうございます。

 


 

13. 今年の歌詞/ヴァース

남의 욕하곤 또 아니라지 랩병신 찌질이 산이같이 (B-Free – My Teamより)

1位:남의 욕하곤 또 아니라지 랩병신 찌질이 산이같이 (B-Free – My Teamより) (31.38%)
2位:너와 나의 연결고리 이건 우리안의 소리 (Illionaire Records – 연결고리より) (13.11%)
3位:밖에 비온다 주륵주륵 (Just Music – Rain Showersより) (3.90%)

 

翻訳+解説 by SAKIKO

1位:他人を罵っても 違うと言うラップ馬鹿 地質が山のように(B-Free 『My Team』より)

「山のように」の部分は韓国語で「サニガチ」と発音するのですが、ここでは「San E(サニ)のように」というダブルミーニングになっています。San EがIllionaireをディスしておきながら、ディスしてないと言ったことを皮肉っています。詳しい話は『My Team』の和訳ページの歌詞や下部に書いてある解説をご覧ください。

 

2位:君と俺のつながり これは俺たちの中の音(Illionaire Records 『연결고리(つながり)』より)

このラインはどれだけ耳にしたでしょうか。特にThe Quiettがあらゆる場所でこのラインをラップしている映像をSNSに頻繁にあげていたこともあり、否が応でも覚えさせられました(笑) 日本公演でもこの部分は大合唱になりましたね。そのときのライブレポはこちらをご覧ください。

 

3位:外は雨が降っている ザアザア(Just Music 『Rain Showers』より)

一見なんでもない歌詞のようで、とっても新しくて新鮮なのがこれ。単純に作られたトラップビートに、単純な歌詞がテンポよく乗る。このフレーズは韓国のヒップホップファンの間で大変話題になりました。

 


 

14. 今年のレーベル/クルー

Illionaire Records

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1位:Illionaire Records (27.91%)
2位:HI-LITE Records (25.72%)
3位:Just Music (22.73%)

ここまでの流れを見るとJust Musicが受賞しそうな感じでしたが、ここはIllionaire Recordsが僅差で受賞しました。3レーベルとも結構な接戦ですね。どのレーベルが受賞してもおかしくない結果だと思います。ただ、2位のHI-LITEは、去年1位を取ったことは文句ないですが、今年はレーベルとしての活動が活発だったイメージがないので感覚的にはこの中だと3位かな。個人的には来日ライブが素晴らしかったので優勝してもらいたい気もしますが。ライブレポはこちらからご覧ください。

 


 

16. 今年のファッションアイコン

Beenzino

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1位:Beenzino (33.16%)
2位:Okasian (21.99%)
3位:Giriboy (8.46%)

これはイケメン対決ではないですよね?(笑) 結果としては人気投票のような感じになっている気もしますが、Beenzinoがファッションアイコンを2年連続で受賞しました。ファッションアイコンというテーマなら、OkasianとGiriboyのほうがふさわしい気もするんだけど、イケメンパワーが強すぎてこのような結果になったのではないかと思えてなりません。2012年なんてG-Dragonが受賞しちゃってたけど、それを言ったら間違いなく永久的にG-Dragonが1位ですよね(笑)

 


 

16. 今年のヒップホップ音楽界ニュース

E SENS 大麻疑惑で『The Anecdote』は無期限延期か?

1位:E SENS 大麻疑惑で『The Anecdote』は無期限延期か? (32.69%)
2位:「265番訓練兵の立場に入ります」 Swingsが軍入隊 (14.66%)
3位:『Show Me The Money』 シーズン3の歴代級ヒット (12.01%)

E SENS溺愛の私にとって、なんて反応に困る受賞なのでしょうか。彼は毎年この部門に名前が挙がりすぎです(爆) この件についてはあまり触れたくないくらい切ないのですが、私の気持ち悪いE SENSへの愛を読みたいという奇特な方がいましたら、こちらをどうぞ。2位と3位は、ニュースとしてはインパクトに欠けますね。それだけ2014年の韓国ヒップホップ界は平和だったということでしょう。

 


 

17. 2015年の有望株

Black Nut

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1位:Black Nut (32.98%)
2位:Keith Ape (27.95%)
3位:TakeOne (14.93%)

これは新人部門に続いておかしなことになっています。Black Nutが2年連続での受賞です。2年連続で翌年の有望株に選ばれるって、本人的には微妙な気持ちなのではないでしょうか(笑) 有望だと評価されること自体は嬉しいでしょうけど、結局芽が出なかった感が出てしまって切ないですね。でも2015年こそ芽が出て花を咲かせると信じましょう! そして3位のTakeOneも、実は去年この部門で2位に選ばれています。TakeOneも来年こそは! Keith Apeは『It G Ma』効果でブレイク間違いなしですね。

 

出所:HIPHOPPLAYA
日本語訳:SAKIKO


Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者である鳥居咲子は、幼少期よりピアノと音楽理論を学び、ロンドンに音楽留学をした。現在は音楽記事の執筆、ライブ主催、楽曲リリースのコーディネート、メディア出演など、韓国ヒップホップに関する様々な活動を展開している。著書に『ヒップホップコリア』。音楽以外に関するネタを集めた趣味ブログ『BLOOMINT DIARY』も運営中。別名ヴィヴィアン。
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