Swervyが1stアルバム『Undercover Angel』をリリース

Written By Sakiko Torii

Hi-Lite Records所属のSwervy(スワーヴィー)が、5月24日に1stアルバム『Undercover Angel』をリリースしました。

まだ18歳という年齢にして、丸3年のキャリアを持つSwervy。2019年2月にHi-Lite Recordsに加入する以前にインディーズでEPを2枚リリースしていますが、今回リリースされた『Undercover Angel』がSwervyにとって初のフルアルバムとなります。プロデュースは活動開始当初からの盟友であり、恋人でもあるSUIが担当。フィーチャリング陣にはPaloalto、JUSTHIS、SUI、そしてバンド「Crying Nut」のCaptain Rockが名を連ねています。

『Undercover Angel』というタイトルは、アメリカのシンガーのメレディス・ブルックスの『Bitch』という曲から取ったそうです。「When you hurt, when you suffer,  I’m your angel undercover(あなたが傷ついた時、あなたが苦しんでる時、私はあなたの秘密の天使)」という歌詞がSwervyにものすごく響いたんだとか。誰かの癒しになるようなアルバムではないけど、自分の感情に揺さぶられても仕方がない、それは全部自分の中にある天使が勝手にしていることだから。幸せは天使が見つけてくれるだろう。そういう想いをアルバムに込めているそうです。

Paloaltoがフィーチャリングした先行公開曲の『왜 이래(どうした)』と、Captain Rockがフィーチャリングした『파랑(青)』のミュージックビデオが公開されています。ミュージックビデオのプロダクションもすべてSUIが務めています。

[MV] Swervy – 왜 이래 (どうした) (Feat. Paloalto)

 

[MV] Swervy – 파랑 (青) (Feat. Captain Rock of Crying Nut)

 

別の記事にも書いたことがありますが、Swervyは高校3年生の学年にあたる昨年、すでに大卒資格を持っていたため『高等ラッパー3』への出場が取り消しになってしまいました。17歳で大卒資格を持ってるのもすごいですが、ロシアやカナダなど複数の国で育ったため、韓国語のほかに英語、中国語、ロシア語の計4ヶ国語が話せるというのもすごいです。

そんな逸材のSwervyは去年Hi-Lite Recordsに加入し、最初は活躍を見せていましたが、Jvcki WaiとSNS上で激しく揉め事を繰り広げてからちょっと行き詰っていました。悪質なコメントもたくさんされて大変な日々を過ごしたようですが、今回のアルバムをもって完全復活。韓国のリスナーからもアルバムの評価が非常に高く、改めてSwervyのラップスキルの高さに注目が集まっています。

DingoのチャンネルでSwervyとSUIがアルバムの解説をしていましたが、そこで話していた内容をまとめます。

1曲目の『Alibi』はあまり世間には知られたくない実話をもとに作った。車の中で感じた感情を書き込んだので、車の中で孤独を感じる時に聞こえる音として雨の音を使った。『Alibi』には絶望的な感情をたくさん込めたが、次に続く『Did it Like I Did』では我に返ったSwervyが自我を探すという曲になっている。リスナーがストーリーに入り込めるように、SUIは音楽的な仕掛けを多く入れた。例えば『Alibi』では車の中の雨の音、『Did it Like I Did』ではSwervyが自信を取り戻すことを表現するために強いフィーリングのある楽器を使った。

 

スキットの『천수경(千手経)』には母親の思いを盛り込んだ。Swervyの母親がSwervyのために祈る様子を録音したが、あえてテンポに合わせず自然に祈ってもらった。そしてその祈りが演奏のように感じられるよう打楽器を構成した。次の曲の『Mama Lisa』もSwervyの母親のこと。昔海外にいた頃、母親が経営していたブティックのスタッフが母親のことを「Mama Lisa」って呼んでた。幼い心にそれがすごく素敵に思えた。リリック全体が母親のことを語ってるわけではなく、「お母さんのその教えが溶け込んでる」くらいの感じで聴いてほしい。

 

Paloaltoがフィーチャリングした『왜 이래(どうした)』は、45BPMのテンポにトラップのリズムでラップをしてみた曲。『Alibi』と『IDid it Like I Did』でSwervyの感情を見せて、『Mama Lisa』でトーンががらりと変わって、ここからはSwervyが世の中に出て経験することを表現した。SUIは直接的な表現が好きではないため、ミュージックビデオには暗喩を詰め込んだ。Swervyが経験したこと、自分たちが経験する人生、 社会に出て経験する感情や人々が感じることが伝わってくるはず。

 

JUSTHISがフィーチャリングした『Trapped in the Drum(ドラムに閉じ込められた)』はSwervyが最も伝えたかったこと。ドラムは筒のような形をしているが、ラッパーは人間らしい姿を見せるとちょっとイマイチで、それが筒の中に閉じ込められているようだと思った。ありのままの感情をドラムの上でラップですれば「リリックがカッコいい」って言われるのに、同じことを言葉で言うと叩かれる。曲の終盤で「Till I’m gone with a bang(私がバンと行くまで)」という歌詞があるが、実際ヒップホップシーンではラッパーたちが爆発するように消えて、爆発するように登場している。だからここではSwervyが登場するという意味にも消えるという意味にもなる。

 

『Funs & Money』にはSwervyが好きなものを全部詰めた。飛行機の音、機械的な演出、ファッション。4小節単位に聴こえるけど、SUIは合間合間に1~2小節ずつブレイク的なものを入れてなんとなく錯覚を起こさせた。その次の『GOMP』はアンチたちに向けて書いたというより、Swervy自身に返ってくるものだとも言える。今回のアルバム制作中、Swervyは自分がこれまでいかに偏狭だったかを痛感した。幼い年齢からSUIと作業をしてきたが、今回のアルバムで初めて音楽やビジュアルについて深く話をし、自分がものすごく偏狭だったと感じた。

 

『YAYA2』はSwervyが現実を見て、何を重要視すべきか悟る変化を表現している。自分が一度死んで生まれ変わったという意味でもある。だから告別の言葉でもあり、挨拶のようでもあり、Swervy自身にとってもすごく複雑な曲。Captain Rockがギターで参加した『파랑(青)』には「熱すぎて燃えて落ちる」という歌詞があるが、神話の「イカロス」がモチーフ。蝋でできた翼で空を飛び、太陽の熱で翼が溶けて落ちる話。Swervyはたまに世界がドームでできてるように思うことがある。天井がホットコアになっていて、もっと成功したくて上を目指して飛んでいくと熱すぎて落ちていく。そのドームの下には水がある。自分は水ともっと似合うと思う。憂鬱だからブルーなのではなく、自分自身が青い水。

 

というわけで、改めてアルバム『Undercover Angel』のトラックリストは以下の通り。やっぱり解説があるとアルバムへの興味が一層強くなりますね。ぜひ解説を読みながらアルバムをじっくり聴いてみてください!

01. Alibi
02. Did It Like I Did
03. 천수경 (千手経) (Skit)
04. Mama Lisa
05. 왜 이래 (どうした) (Feat. Paloalto)
06. Trapped in the Drum (Feat. JUSTHIS)
07. Funs & Money
08. GOMP
09. YAYA2 (Feat. SUI)
10. 파랑 (青) (Feat. Captain Rock of Crying Nut)
11. Did It Like I Did [Remix]

 


 

Swervy – Undercover Angel のご視聴はこちらから

itunes spotify

 

writerSakiko Torii

BLOOMINT MUSICの運営者。韓国ヒップホップ・キュレーターとして執筆、ライヴ主催、音源/MV制作サポート、メディア出演など多方面に活躍中。イギリスに音楽留学していた本格派。著書に『ヒップホップコリア』。



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