評論家たちから最も高く評価されるラッパーのひとり、HwajiがVMCに電撃加入!

Written By Sakiko Torii

音楽評論家たちからは絶賛されているのに、大衆には売れない。いつの時代にもそんなアーティストは山のようにいます。反対に、大衆的に人気のアーティストが必ずしも評論家からの評価も高いわけではありません。もちろん評論家と大衆の両方から高く評価される場合も多々あります。

どれがいいとか悪いとかいうことはなく、そういうものなのだと思ってます。音楽家たちを唸らせるようなクオリティの高い音楽が一般層の胸には響かないこともあるし、何かの拍子にブレイクすることもある。シンプルで分かりやすい曲ほど売れやすいけど、飽きられやすくもあって、だけど数十年にわたって世界中の人々の心を揺さぶり続けることもある。様々な要因が複雑に絡み合って売れたり売れなかったりするし、売れることだけが成功ではないし。

韓国ヒップホップシーンで最も「評論家たちからは絶賛されているのに、大衆には売れないアーティスト」に該当するのが、Hwaji(ファジ)ではないでしょうか。テレビ番組にも出演経験がないので、韓国の一般層には知名度が全くと言っていいほどありません。しかし音楽業界におけるHwajiの評価は以下の通り。

  • 2015年、韓国で最も権威ある音楽賞「韓国大衆音楽賞」で1stアルバム『EAT』が「最優秀ラップ&ヒップホップ・アルバム」を受賞
  • 同年、『EAT』が「HIPHOPPLAYA Awards」で「今年のアルバム」にノミネート
  • 2017年、2ndアルバム『ZISSOU』が「韓国大衆音楽賞」で「最優秀ラップ&ヒップホップ・アルバム」を受賞
  • 同年、『ZISSOU』が「Korean Hiphop Awards」で「今年のヒップホップアルバム」にノミネート
  • 同年、ブラックミュージックの音楽レビューの権威「Rhythmer」が『ZISSOU』を「2016年最高のヒップホップアルバム」と評価
  • 2019年、「韓国大衆音楽賞」でシングル『나 빼 (Nappe)』がノミネート
  • 「Rhythmer」が2019年末に発表した「2010年代の韓国ヒップホップアルバム・ベスト10」で『EAT』が1位、『ZISSOU』が7位を獲得

 

とまあ、ザックリ書くとこんな感じです。ちなみに私もHwajiのことは大好きで、雑誌「LATINA」と音楽サイト「Real Sound」ではHwajiのアルバム『WASD』を「2018年のベスト10アルバム」に選出し、去年書いた「2019年2月のピックアップアルバム」という記事ではHwajiのアルバムを2作紹介しました。2019年はいいアルバムがたくさん出たんだけど、中でもこの2作は特にお気に入りでよく聴いてました。

2019年2月のピックアップアルバム

 

さて、前置きが長くなりましたが、そんなHwajiが2020年6月28日、VMC(Vismajor Company)に加入したという嬉しいニュースが!

最初はかなり意外に思ったのですが、自分の過去記事を漁ってみるとHwajiってVMCとのコラボがめちゃめちゃ多いんですよね。過去記事のリストをザッと流し見しただけでもDeepflow、Nucksal、TK、ODEEのアルバムにフィーチャリングしています。なんせ上の記事で紹介した「MUNCHEESE」もWutanと組んだチームだしね。だからものすごく自然な流れというか、落ち着くべきところに落ち着いたのかなって感じもします。

Hwajiの魅力はとにかく声! そしてレイドバックするゆったりとしたフロウ! ザ・ソウルフルって感じでどっしりと重みのあるトーンが最高に心地よいのです。アメリカで育っただけあり、身体の中にブラックミュージックの魂が染み込んでる感じ。だけどあえて英語をあまり使わないことで、韓国語ラップならではの響きを持たせているところも魅力的。

そんなHwajiがVMCに合流したことで、今後どんなシナジーを生み出してくれるのか本当に楽しみです。VMCはご存じのように非常に男臭いレーベルで、硬派なスタイルが古き良き韓国ヒップホップの面影を感じさせます。Hwajiにめちゃくちゃ合ってると思うので、ほんと今後が楽しみ!

レーベル合流と同時に新曲『오염 (Pollutants)』と『추 (The Pull)』の2曲をリリースしました。Primaryがプロデュースした『오염 (Pollutants)』はミュージックビデオも公開されているので、ぜひチェックしてみてください。これまでHwajiにあまり興味のなかった方も、これを機に注目してくれると私もファンの一人として嬉しいです。

[MV] Hwaji – 오염 (Pollutants)

 


 

Hwaji – 오염 (Pollutants) / 추 (The Pull) のご視聴はこちらから

itunes spotify

 

writerSakiko Torii

韓国ヒップホップを専門に文筆業、イベント主催、音源/MV制作サポート、メディア出演など多方面に活躍。



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