Single | JUSTHIS – Re:Tired

Written By Sakiko Torii

先日引退することを表明したばかりのJUSTHISが2曲入りのマキシシングル『Re: Tired.』を12月10日にサプライズリリースしました。引退を発表したソロコンサート『JT2de: Re: Tired.』の最後に公開された『Omen』とリード曲の『Gone』の2曲で、どちらもJUSTHIS自身が作詞・作曲からアートワークのデザインまで担当しています。

JUSTHISが現在感じている率直な心境を表現した歌詞が印象的です。特に『Gone』はその曲名が表している通り、JUSTHISが立ち去ることを示唆しています。「I wanna be I wanna be gone right now(俺は今すぐ消えたい)」と繰り返される英語のフレーズに、韓国語で「俺は消えたい今すぐに。今でなければ、また戻ってきそうだから」と続きます。そして「誰も今の俺の気持ちを分かってない。今俺が消えても、本当の俺の価値は誰にも分からない。俺が消えても世の中は回っていき、君のSNSにも写真が上がる。俺の気持ちが分かるふりをするな、絶対に誰にも分からないのだから」と思いの丈を綴っています。

引退を公表したことで今ものすごく注目を浴びちゃっていますが、それが良いことなのか悪いことなのか、もはやよく分かりません。歌詞を読む限りだいぶ病んでるのかな~とも思いつつ、すごくいいミュージックビデオができあがってるので、意外といい精神状態なのではないかとも思うのです。これだけのビートとリリックと映像を作るには、それなりの集中力を要するので、案外コンディションはいいのかなって思います。

[MV] JUSTHIS – Gone

 

歌詞にある「今でなければ、また戻ってきそうだから」って言葉からは、実はちょっと引退を迷う気持ちもあるのかなって思ったりします。引退するって言って結局しないってのもカッコ悪いけど、カッコ悪くてもいいから引退しないでほしいのがファンの正直な気持ちですよね。

とは言え、私もJUSTHISと同じような気持ちになることもあるのです。JUSTHISは今回、「歌詞の構成やメッセージに全力を注いでも、それをちゃんと理解しないリスナーの態度」を引退の理由のひとつに掲げています。実際私もほかの韓国のラッパーたちから、「韓国のリスナーは自分たちを芸能人のように消費して、ヒップホップというひとつの文化として受け止めてくれない」というジレンマをよく聞きます。

私自身も「韓国ヒップホップ」というひとつの文化を日本に届けるために長年活動してきていますが、テレビに出てるラッパーにしか興味を持ってもらえないことをもどかしく感じることも多いです。だけど私にできることは、もっといろんなラッパーのいろんな曲や活動の歩みを知ってもらうために記事を書いたりラジオなどで届けたりすることだけ。今年はSKY-HIさんやSALUさんといった日本のラッパーとの日韓コラボもいくつか実現できたので、そういう活動を通してファン層も広げていけたらって思います。

歌詞のページとか、インタビューとかコラムももっと読んでもらえたら嬉しいな(← 結局宣伝)

 

JUSTHISの気持ちに触発されていろいろ書いちゃったけど、テレビに出てるアーティストだけ楽しむのは全然悪いことじゃないです。音楽の聴き方なんて人それぞれですし。ただ、ヒップホップっていうのは単なる音楽ジャンルではなく、いろんな要素を取り込んだ文化の集合体なので、そういうことを知ってもらうためにもっとがんばりたいし、JUSTHISにももうちょっとがんばってもらいたいなって思う今日この頃です。

 

writerSakiko Torii

BLOOMINT MUSICの運営者。韓国ヒップホップを専門に文筆業、ライヴ主催、音源/MV制作サポート、メディア出演など多方面に活躍中。イギリスに音楽留学していた本格派。著書に『ヒップホップコリア』。



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