EP | JaeDal – Period
クルー「Legit Goons」のメンバーであり、詩的な感性と高い音楽性で注目されている新鋭ミュージシャンのJaeDal(ジェダル)が9月14日にEP『Period』をリリースしました。
1992年生まれで現在26歳のJaeDalは、2014年にミックステープ『Some Black Things』を公開して以降、バンド「Jacoby Planet」のメンバーを経て2016年にシングル『Back to the Island, Begin』で正式にデビューしました。2017年にEP『Adventure』を出し、音楽評論家の間では「最も期待できる新鋭アーティスト」と評価されました。バンド出身なだけに作品中の楽器演奏もほぼ自分自身でこなすJaeDalの音楽性は、オルタナティブ・ロックに近い感性があります。どことなくhyukohを彷彿とさせる曲もあるので、そういったロックが好きな人には大変お勧めです。ロックとヒップホップを巧みに融合させたり、民族音楽を取り入れるなど常に新たな挑戦をしていて目が離せません。
最近ではPaloaltoのニューアルバム『Summer Grooves』にも参加しました。インタビューでは以前から「Paloaltoと一緒に作業してみたい」と語っていたので、念願のコラボといったところでしょうか。ちなみにPaloalto率いる「Hi-Lite Records」に所属しているプロデューサーのYosiも、Legit Goonsのメンバーです。同クルーには現在『Show Me The Money 777』でPaloaltoとチームを組んでいるCODE KUNSTも所属しています。
今回のEP『Period』 には、JaeDal自身が総合プロデューサーとして作り上げた5曲が収録されています。前作『Adventure』に続いて、全曲の作詞・作曲・編曲からミキシングまでを自分自身で手がけています。さらに1曲目と5曲目はすべての楽器を自分で演奏し、2曲目はベース以外、3曲目はドラムとベース以外、4曲目はドラム以外を演奏しています。
5曲目の『Tree』はミュージックビデオも公開されているのですが、この映像がまた壮大で観ていて圧倒されます。アフリカンなサウンドと映像がマッチしていて、JaeDalの優しく語りかけるようなラップが心にダイレクトに入り込んでくるようです。
[MV] JaeDal – Tree
JaeDalの才能は、音楽的なものだけにとどまりません。作詞能力がずば抜けて高いことから「韓国ヒップホップシーン屈指のリリシスト」と言われています。例えばこの『Tree』もとても詩的な歌詞で、「俺は木のように生きたい。俺が根付いたところが俺の中心だ。声に込めた真意を君の心に植え、末長く君と留まっていたい」という表現は文学的ですらあります。
また、前作『Adventure』に収録されている『Dear Mama』という曲では、軽快なリズムに乗せられた次のような痛烈なメッセージが話題になりました。
ある先輩が言った。Crushを聴いていると。トレンドを聴いてから借用するんだと。その瞬間から先輩はアーティストではなくなった。オリジナリティがないなら芸術家は死ぬ。俺は売れなくても、言いたいことを言い、着たい服を着て、コツコツ生きていく。各自の個性と努力が出会い、光を出すその瞬間を信じてる。
オシャレでキャッチーで親しみやすい音楽もいいですが、やはりこのように芸術性に優れた作品がもっと評価されるようになるといいなと思います。「評論家の間では高く評価されてるのに大衆的には人気がない」というのは多々あることで、仕方のないことなのだとも思いますが、それでも「ホット」とか「トレンド」みたいな言葉に踊らされないアーティストは、人々の心に長く留まってインスピレーションを与えると思います。『Tree』の歌詞のように、声に込められたその思いは末長く聴き手の心に根付くのだと思います。
『Period』のトラックリストは以下の通りです。
01. Sherpa
02. Stay
03. Flop
04. Happy Day
05. Tree
JaeDal – Period のご視聴・ダウンロードはこちらから