84年生まれのラッパーが集結した<DAMOIM プロジェクト>がついに終了! YUMDDA、The Quiett、Simon Dominic、Paloalto、 Deepflowの5人が残した全4曲を一挙ご紹介!

Written By Sakiko Torii

皆さま、新年あけましておめでとうございます。BLOOMINT MUSIC 運営者の鳥居咲子です。年が明けてから一週間が過ぎてしまいましたが、ようやく2020年一発目の記事を更新します。今年もマイペースではありますが、内容の濃い記事の更新を心掛けて参りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

さて、クリスマスの直前にアップしたこちらの記事「2019年のクリスマスはK-HIPHOPキャロルを聴こう! 今年のヒップホップ・キャロル5選」の中でもご紹介したトラック『아마두』。「アマドゥ」と読み、意味は「たぶん」で、Apple MusicやSpotifyに表示されている英題は『I’mma Do』です。この曲は「アマドゥ〜アマドゥ〜」というフックが印象的なので、もう曲名もそのまま『アマドゥ』って書いちゃおうと思います。

上記のクリスマスキャロルの記事では、この曲が「Dingo Freestyle」による「DAMOIM」というプロジェクトの一貫でリリースされたという説明が書いてあります。本コラムではDAMOIMについてもう少し詳しく説明するとともに、プロジェクトから発表された全4曲をご紹介しようかと思います。
 


 

DAMOIM(ダモイム)とは?

DAMOIMについて説明する前に、まずは「Dingo(ディンゴ)」について軽く説明しましょうか。Dingoは2015年に立ち上がったメディアブランドで、「Dingo Travel」「Dingo Beauty」「Dingo Style」などといった様々なサービスを展開しています。その中で最も成功したのが音楽コンテンツ制作チャンネルの「Dingo Music」です。

◆Dingo Music Youtube チャンネル:
https://www.youtube.com/channel/UCtCiO5t2voB14CmZKTkIzPQ

Dingo Musicは縦向きの画面でライブ映像を撮影した「縦ライブ」や、アイドルたちがお酒を飲みながら歌う「露ライブ」など多様な映像シリーズを次々に出し、そのどれもが数百万から時には数千万もの再生回数を記録するほど大ヒットを連発。さらにブラックミュージック専門チャンネルとして登場した「Dingo Freestyle(通称DF)」では、ヒップホップレーベルやラッパーがDingoとコラボ楽曲を制作したり、ラッパーたちがライブパフォーマンスをする「DFライブ」シリーズなどを出したりしています。

◆Dingo Freestyle YouTube チャンネル:
https://www.youtube.com/channel/UCviI9lzTe2pkxJ9M2ArA7WQ

DFがこれまでに出したのは『iffy』『flex』『띵 (ティン)』『한라산 (Hi-Lite Sign)』『비워 (Beer)』など話題の曲ばかり。そんな中、Dingoのもとで2019年の秋に始まったのが「DAMOIM」と名付けられたプロジェクトです。YUMDDAThe QuiettSimon DominicPaloaltoDeepflowの5人で結成されたプロジェクトなのですが、この5人の共通点は1984年生まれということ。いや、正確に言うとThe Quiettだけ1985年生まれなのですが、早生まれなので84ラインに入れられています。そういう意味ではPaloaltoは83ラインなんだけどね。

5人とも2000年代初めに活動を開始したベテランラッパー。知名度も人気も実績も5人の中でだいぶ遅れをとっていたYUMDDAが、2019年にDFから出した『돈 Call Me』で大ブレイクしたことを機に、DAMOIMプロジェクトの企画が始まりました。詳しいことは下の動画をご覧ください。親切なことに日本語字幕も付いています。

 

動画の中でも説明があった通り、「DAMOIM」とは1990年~2000年代のネットコミュニティのこと。今でこそInstagramやFacebookなどのSNSが発達し、SoundCloudやYouTubeなど音源を公開するプラットフォームはいくらでもある時代になりましたが、インターネットが未発達だった1990年代から2000年代初め、当時のラッパー志望の少年たちはパソコン通信やネットコミュニティやMSNメッセンジャーなどを通して情報交換や音楽交流をしていました。この5人はその世代なのです。

当時の韓国のネットコミュニティにはDAMOIMのほかにも「サイワールド」とかがあって、80年代生まれの世代なら知らない人はいないほど。2000年代生まれの人でInstagramを知らない人はいないのと同じような感じですね。さらにDAMOIMはハングルで書くと「다모임」なのですが、この言葉には「みんなで集まる」という意味があるので(転じて「お茶会」という意味も)このプロジェクトにぴったりのネーミングなわけです。

余談ですが、当時のラッパーたちがチャットで利用してたのは主にMSNメッセンジャーで、音楽的な交流は90年代は「HiTEL」「Nownuri」、2000年代は「Millimドットコム」などを中心におこなっていました。その辺の話は私の著作『ヒップホップコリア』にもちょいちょい登場するので、よかったら読んでみてね。

というわけで2019年の秋、ラッパー5人が集結したプロジェクト「DAMOIM」がDingoの協力のもとで始まったのでした。
 


 

Forever 84

YUMDDA, The Quiett, Simon Dominic, Paloalto, Deepflow – Forever 84
(2019年11月19日リリース) 

Apple Music | Spotify

 

DAMOIMの第1弾として11月にリリースされたのが『Forever 84』という曲です。この曲を出す前、DFでは『かけがえのないヒップホップ友達 : DAMOIM』というシリーズ番組が始まりました。要はメイキングとかビハインドシーン的なものなんですけど、1回目だけなぜか日本語字幕が付いているので、気になる方はぜひこちらから観てみてください。

『Forever 84』のミュージックビデオでは、YUMDDAがノリで提案したプライベートジェットが実現されててすごい! だけどビートがちょっと地味なせいか、あまり話題にはなりませんでした。ミュージックビデオの再生回数も1ヶ月半で200万回ほど。もちろん一般的には200万回という数字はかなり良い成績なのですが、ハズレなしのDingoであることや、メンバーが超豪華であることなどを考えると、ちょっと残念な結果に終わりました。

ただ、Huckleberry Pがリミックスを出したのは良かった。Huckleberry Pも同様に84年生まれで、Simon DominicとYUMDDAとDeepflowとしょっちゅう飲み歩いてるんです。さらにCODE KUNSTもリミックスを公開してちょっと話題になりました。

Huckleberry P – Forever 84 [Remix]

 

CODE KUNST – Forever 84 [Remix]

 


 

아마두 (アマドゥ)

YUMDDA, Deepflow, Paloalto, The Quiett, Simon Dominic – 아마두 (Feat. ウ・ウォンジェ, キム・ヒョウン, Nucksal, Huckleberry P)
(2019年12月3日リリース)

Apple Music | Spotify

 

DAMOIMの第2弾としてリリースされたのは、2019年の韓国で最も人気のクリスマスソングとなった『アマドゥ』。DAMOIMの5人に追加して、ウ・ウォンジェキム・ヒョウンNucksalHuckleberry Pがフィーチャリングしました。この曲はミュージックビデオではなく、上記でも説明した「DFライブ」の映像が公開されています。

この映像は公開から1ヶ月で780万回再生されているので、それだけを見ても『Forever 84』より大きく成功したことが分かると思います。が、何と言っても韓国最大手の配信サービスである「MelOn」でチャート1位を記録したというのがすごい! これはもう「ヒット曲」と呼んでもいいのではないでしょうか。ヒップホップ的な観点とかは置いといて、ラッパーたちの遊び心が楽しめたり、韓国人の情緒に響くところが勝因かな。

ラッパーたちの遊び心というのは、普段はオートチューンでシンギングラップとか絶対にしないDeepflowやHuckleberry Pがそれをやっちゃってたり、普段はダークなキム・ヒョウンが愛についてラップしてたりする点です。白い背景に白い衣装で仲良さそうにたわむれるラッパーたち……。日本ではちょっと考えられない光景ですね(笑)。「来年は何でもうまくいくだろう、アマドゥ(=たぶん)」というフックがとても印象的で、聴いた後はついつい「アマドゥ~」と口ずさんでしまいます。
 


 

중2병 (中二病)

YUMDDA, The Quiett, Simon Dominic, Paloalto, Deepflow – 중2병 (中二病)
(2019年12月24日リリース)

Apple Music | Spotify

 

DAMOIMの第3弾としてリリースされたのが、こちらの『中二病』。日本にもある言葉なので「え?」って思った方も多いかもしれませんね。1999年に日本で作られたこの言葉は、のちに韓国にわたり、日本と同じくらい若者の間で広まりました。日本における中二病はちょっと揶揄したり茶化したりするレベルでも使われますが、韓国ではもっと悪意を持って使われているようです。ちなみに韓国では大学に進学したあと目標を見失う人のことを「대2병(大二病)」とも呼ぶようです。

クリスマスソングである『アマドゥ』がヒットする中、まさにクリスマスイブ当日にリリースされたのが『中二病』だなんて、一体どういうことでしょうか(笑)。この曲はミュージックビデオも公開されていますが、リリースから2週間で280万回再生を記録するなど絶好調です。『アマドゥ』の人気には及ばないものの、トラックや映像のコンセプトがおもしろいのでなかなかの注目を集めています。
 


 

달려 (走れ)

YUMDDA, The Quiett, Simon Dominic, Paloalto, Deepflow – 달려 (走れ)
(2020年1月6日リリース)

Apple Music | Spotify

 

そして年が明け、1月6日にリリースされたのが『달려(走れ)』。DAMOIMの第4弾にして、ラストシングルとなったこの曲は、2000年代からThe Quiettの曲を多く手掛けてきているPrima Vistaがプロデュースしました。リリースと同時にチャート6位を記録し、リリックビデオの再生回数も2日間で66万回とまずまずといったところ。

この曲で注目すべきはSimon Dominicのパートですかね。最初に聴いたとき「誰!?」って思いました。声のトーンがめっちゃ高い。なんか90年代の韓国ラップみたいなちょっと力んだ感じのトーンで、逆に新鮮でした。

リリックビデオはDAMOIMの総集編になっています。プロジェクト期間中のメンバーたちの様子が次々に映し出され、メイキングを見てきた人たちにとっても感慨深くなっちゃうような内容です。映像の中にコンサートの写真が登場しますが、これは今年1月4日と5日に開催された『かけがえのないヒップホップ友達 : DAMOIM』コンサートの模様です。12月23日にチケットの予約販売が開始するや否や、一瞬にして完売。2000人キャパが2日間完売とは、ヒップホップとしてはものすごい記録です。

※1月17日追記:『달려(走れ)』のミュージックビデオも公開されました

 


 

以上、11月から1月の2か月間にわたって実施されたDAMOIMプロジェクトの簡単なまとめでした。これ以外にもDFではかっこいいヒップホップコンテンツをたくさん出しているので、今後も要注目!

そしてここ数年で韓国ヒップホップはすっかり世代交代してしまい、30代後半のラッパーたちの活躍の場が少なくなってきました。若くて新しいアーティストが好まれるのは当然のことですが、DAMOIMのメンバーに限らず、2000年代序盤にヒップホップシーンを作り上げてきたラッパーたちももっと注目されたらなって思います。

若手もベテランもどちらからも目の離せない韓国ヒップホップ。2020年も引き続き応援していきましょう!

writerSakiko Torii

BLOOMINT MUSICの運営者。韓国ヒップホップ・キュレーターとして執筆、ライヴ主催、音源/MV制作サポート、メディア出演など多方面に活躍中。イギリスに音楽留学していた本格派。著書に『ヒップホップコリア』。



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