EP | Kangsanyeoul - 18℃


800x800

韓国ヒップホップシーンのベテラン12名によって結成されたクルー「Speaking Trumpet」。2015年7月には初来日ライブも果たし、その時に渋谷で撮影されたミュージックビデオ『Passport』は、日韓両国のファンの間で大きな話題となりました。ライブを私が主催した関係で『Passport』の撮影もお手伝いしたので、その時の撮影レポもぜひご覧になってみてください。

Report | Speaking Trumpet 『Passport』のミュージックビデオ撮影

そんなSpeaking Trumpetに所属するラッパーのKangsanyeoul(カンサンヨウル)が、実に8年ぶりとなるソロ作品をリリースすることとなりました。3曲入りのEP『18℃』(同3曲のインストを入れると6曲入り)は、カンサンヨウルが久々に気合いを入れ、友人たちと時間をかけて一生懸命作った作品です。私も少しでも力になるべく、日本を含む韓国以外の国での流通に協力させていただきました。

カンサンヨウルのキャリアスタートは2006年。NuckとBiznizによるチーム「Infinite Flow」のセカンドアルバム『More Than Music』で、プロデューサーとしてデビューしたのが始まりです。その後はソロアルバム『LOVE AND HATE』の発表を皮切りに、『DJ Juice x Kangsanyeoul』『Kangsanyeoul with Du Kang』『Speaking Trumpet』などといったプロジェクトチームやクルー活動を並行させてきました。

 

(参考)DJ Juice x Kangsanyeoul – 봄비 (春の雨) (Feat. Soulman)

 

DJ Juice x Kangsanyeoulのアルバムは、BLOOMINT MUSIC STOREでも販売しています(こちら)。このアルバム、実は去年のSpeaking Trumpetの初来日ライブの時、一番初めに売り切れたんですよ! それ以来、「カンサンヨウルは日本で売れる」という説が、メンバーや私の間で蔓延しています(笑)

そんなカンサンヨウルですが、185cmという長身とイケメンを生かして、モデルやミュージカル俳優としての活動もしてきました。ラッパーとしてはプロジェクト活動が長く続いていましたが、このたび満を持して8年ぶりのソロ作品『18℃』を発表することとなったのです。

『18℃』のトラックリストは以下の通りです。

01. 18’c (Feat. Soulman, Optical Eyez XL)
02. 아침대위 (Bad Morning) (Feat. Nuck)
03. 병1 (Mad House)
04. 18’c (Inst.)
05. 아침대위 (Bad Morning) (Inst.)
06. 병1 (Mad House) (Inst.)

 

1曲目の『18℃』は、人生の温度、お酒の温度、天気の温度をひとつの温度として感じる男が、酒の席について語った曲です。

2曲目の『아침대위』は、ベッドの上で起こった出来事をウィットに解きほぐした曲です。「아침대위」とは「ベッドの上」という意味ですが、目覚めた時の良くない気分などを描いた歌詞なので、英語タイトルは「Bad Morning(悪い朝)」となっています。

3曲目の『병1』は、傷を抱える患者の繰り返される日常を描いた曲です。「병1」の「병」は「病」という意味で「ビョン」と読みます。「1」は英語の「ワン」ですが、韓国語訛りでは「원=ウォン」と読みます。つまり「병원」となるのですが、「병원」とは「病院」という意味になります。つまり「病院」というタイトルの曲です。病んでる状態の話なので、英語タイトルは「Mad House(精神科病院)」となっています。

3曲とも歌詞を翻訳したので、下記ページをご覧ください。カンサンヨウル特有の「憂鬱な感性ヒップホップ」の世界観をたっぷりと味わうためには、やはり歌詞を理解する必要がありますからね。以前のインタビューでも「僕が書きたいことは、ただ一番憂鬱だったらいいですね。価値観なら、ひとまず憂鬱さを目標にしています」と語っていたくらい、とにかく憂鬱であることを大事にしている方なので(笑)

 

それにしても、この『18℃』に関与した人たちが、またすごい! まずエグゼクティブ・プロデューサーにはNuckを迎え、各局のプロデューサーはOptical Eyez XLPe2nykrismazeが務めています。NuckはSpeaking Trumpetのメンバーであり、大人気グループSoul Diveのリーダーです。1990年代後半から韓国ヒップホップシーンで活躍する超大御所です。MC Metaに続くカリスマとリスペクトを得ているラッパーだと言えるでしょう。詳しくは拙著『ヒップホップコリア』のp.143をご覧ください。


ヒップホップコリア: 韓国語ラップ読本

ちなみに『ヒップホップコリア』の表紙にはカンサンヨウルが載ってるんですよ。上のほうにSpeaking Trumpetのメンバーの集合写真が載っているのが見えますか? その一番右端に立っている長身のイケメンがカンサンヨウルです。

プロデューサーの話に戻りますが、Pe2ny(ペニー)も同様に超ベテランの大御所プロデューサーですね。Epik Highの曲を多く手掛けてきたことで知られています。日本の大人気メロウ・ヒップホップ・コンピレーションアルバム・シリーズ『IN YA MELLOW TONE』に参加されたこともあります。Pe2nyは『ヒップホップコリア』のp.173に載っています。

Optical Eyez XLは不汗黨のメンバーです。プロデューサーとしてより知られていますが、ご本人はラッパーとしてのキャリアを伸ばしたがっています。『ヒップホップコリア』のp.172に載っています。Optical Eyez XLに関する記事として、こちらも合わせてご覧になっていただけると嬉しいです。

krismazeは、これまた数々のヒット曲を出してきたSouLime SounDを運営するチームSouLimeのメンバーです。そんな凄腕プロデューサーたち4人の手にかかり、カンサンヨウル特有の「憂鬱な感性ヒップホップ」に対して重みのあるケミストリーが生み出されています。

フィーチャリングにはプロデューサーとして参加したOptical Eyez XL、Nuckのほかに、美しく伸びやかな歌声で知られるベテランシンガーのSoulmanが参加しています。また、アートワークはBabynineが手掛けています。ミキシングやマスタリングには、プロデューサー陣のほかにもR-ESTファン・ホンチョルが参加しており、本当に半端なく錚々たるメンバーです。

 

多くの人々の力を借りて完成されたEP『18℃』。このたび、(例によって)GOON TRAXを通して日本でのリリースも実現させました。GOON TRAXは『IN YA MELLOW TONE』を出しているレーベルなので、偶然にもPe2nyとつながった!

iTunesでのダウンロードはもちろん、Apple Music、Amazon Prime Music、Spotify、LINE Musicなど、あらゆるストリーミング・サービスでも視聴可能です。たくさんの方に聴いてほしいので、ぜひSNSなどで拡散させながら、日本でカンサンヨウル・フィーバーを起こしましょう! うまくいけば「カンサンヨウル&友人たち」の来日公演も実現できるかもしれません!

カンサンヨウルの持ち味は、なんといっても、その声! 低く、深く、渋みのある独特な声質は、低い声フェチの人には最高にハマると思います。その低い声に痺れつつ、歌詞を読みながら憂鬱な気分を味わってみてください。

 


 

Kangsanyeoul – 18℃ のご購入はこちらから

 


Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者。イギリスでの音楽留学経験を生かした音楽的に深みのある記事が売り。独自スタイルのライブ企画、楽曲リリースのコーディネート、ライター活動、各種メディア出演など、韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。別名ヴィヴィアン。
Sponsored Link