Single | カン・チュンヒョク - For The Freedom (Feat. 3mm, CarpeDiem)


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韓国語ラップ読本『ヒップホップコリア』をお持ちの方であれば、「脱北ラッパー」カン・チュンヒョクさんに関するコラムもお読みになったかと思います。現在30歳のチュンヒョクさんは、12歳の時に北朝鮮から脱北し、大人になってからは絵画やラップを通して北朝鮮の実情を伝える活動をしています。そのチュンヒョクさんが久々に新曲を発表しました。

この何とも切ないアートワークも、チュンヒョクさんご自身によって描かれたものです。この幼い少年は、12歳で脱北をした当時のチュンヒョクさん自身なのでしょうか。そしてこの鉄線のようなものは、韓国と北朝鮮の国境である38度線に張られた有刺鉄線を指しているのでしょうか。

『ヒップホップコリア』のP.146~149にはチュンヒョクさんが脱北した時の話を、P.150~157にはチュンヒョクさんに直接行ったインタビューを掲載しています。普段は画家として活躍されているチュンヒョクさんからお送りいただいた絵と共に、北朝鮮の話、ラッパーとしての活動の話などを収めています。ご参考までに、コラムの最初のページはこんな感じです↓

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実は3日前にIllionaire RecordsのThe Quiettさんと久しぶりにお会いして、その時にもこの話をちょっとしてきたところです。『ヒップホップコリア』のコラム内にも書いてある通り、チュンヒョクさんは2014年の『Show Me The Money 3』に出演して大きな話題となったのですが、その時の審査員の一人がThe Quiettさんでした。

チュンヒョクさんが緊張のあまり失敗して脱落してしまった時、The Quiettさんが「もっと(北朝鮮に関するラップを)聴きたかった」とコメントしていたのが印象的でした。だからあの時失敗してできなかった話とか、ラッパーとしてどうやって活動していきたいのかとか、そういう話を収めたんだという話をお伝えしたところ、とても興味深そうにされていました。

あ、その時The Quiettさんに『ヒップホップコリア』を持って認証ショットを撮らせてもらったので、一応ここに貼っておきます(笑) チュンヒョクさんの記事なのにすみません……。

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ヒップホップコリア: 韓国語ラップ読本

 

11月28日に公開されたチュンヒョクさんの新曲のタイトルは『For The Freedom』といいます。「自由のために」という意味ですね。このタイトルを読むだけで内容の想像がつきますが、実際に歌詞を読んでみると「俺の出生地は北方 86年生まれの寅年 ブタ野郎よりも3年あとに生まれた だけど子供の頃はお前という存在自体も知らず 食べて生きていくのに必死で 通りをさまよう日々だった」と、いきなり金正恩に対する強烈なディスから始まります。

とても読み応えのある歌詞なので、ぜひ翻訳したいと思っていますが、ちょっと今個人的な事情で時間がないため少し難しいです。近日中に必ず訳したいと思っていますので、しばらくお待ちくださいませ!

『For The Freedom』はミュージックビデオも公開されていますので、ぜひご覧になってください。たくさん練習をされたのでしょうか。『Show Me The Money』の時に比べると、ラップのスキルがかなり上がったように感じます。だけど『ヒップホップコリア』の中でも書きましたが、チュンヒョクさんの持ち味はスキルとかよりもその「テーマ」にあると思います。他の誰にもできない話があったり、伝えたいメッセージが明確だというのは誰にも負けない強みだと思うのです。

 

この曲の中には『ヒップホップコリア』の中でもご紹介した、『Show Me The Money』で披露された歌詞も入っています。「そこでは李雪主が祖国の母 But she’s not my 母 俺の母親が阿吾地で患ったのは結核 坑道を掘ったカネを搾取して作ったのは核」というラインです。李雪主とは金正恩の妻なのですが、北朝鮮では彼女のことを「祖国の母」としているため、そのことを批判しているんです。

一般的な「韓国ヒップホップ」とはまた違った場所にいるカン・チュンヒョクさんですが、韓国にはラップというツールを通してこんな活動をしているラッパーもいるんだということを知っていただきたく、取り上げさせていただきました。良かったら皆さんもご注目いただけると嬉しいです。

ところで以前、チュンヒョクさんから当サイト宛てにサインをいただきました。これまでなかなか公開する機会がなかったのですが、これでやっと公開できる機会ができたので、最後にどうぞ!

ジャジャーーーン!!!!!!!

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Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者である鳥居咲子は、幼少期よりピアノと音楽理論を学び、ロンドンに音楽留学をした。現在は音楽記事の執筆、ライブ主催、楽曲リリースのコーディネート、メディア出演など、韓国ヒップホップに関する様々な活動を展開している。著書に『ヒップホップコリア』。音楽以外に関するネタを集めた趣味ブログ『BLOOMINT DIARY』も運営中。別名ヴィヴィアン。
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