Single | E SENS - Sleep Tight


E SENSが今日、新曲『Sleep Tight』を無料公開しました。

朝起きて、我が目を疑いました。2度目の逮捕報道以降、ひとつのコメントもなく、動向についてまったく音沙汰のなかったE SENSが初めてツイートしたものですから。

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何が起こってるのか理解できずに、自分が寝ぼけてるのかとすら思ってしまいました。そしてよく見たら、Minosまでこんなツイートをしていました。

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<翻訳>P-Type、ケンドリック、E SENS “Sleep Tight”、順番に聴いて眠る日

 

時間を見ると、MinosのほうがE SENS本人よもり先にツイートしてますね。そしてHuckleberry Pまで、この件についてツイートしていました。

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<翻訳>ああ、やっぱり韓国のMCの中では、センスが僕に一番大きな刺激と劣等感を抱かせる。考えようにはケンドリックみたいにケンドリック兄さんと呼びたいけど、韓国人だから…

 

Huckleberry Pは、兼ねてより一番尊敬するラッパーとしてE SENSの名前を挙げています。実は私が一番好きなラッパーもE SENSで、その溺愛ぶりはちょっと気持ち悪いレベルにまで達しているのですが、E SENSがこうやって、第一線で活躍しているラッパーたちから常に「尊敬するラッパー」と言われているのを見ると、私も鼻が高いです(←誰)

ところでMinosもHuckleberry Pも「ケンドリック」と言っていますが、アメリカのラッパーKendrick Lamarが、昨日ニューアルバム『To Pimp A Butterfly』をリリースしたんですね。元々23日にリリース予定だったのですが、昨日突然デジタル・リリースされたのです。私が見た範囲では、日韓を含む世界中のミュージシャンが「素晴らしい作品だ!」と湧いている状態です。私自身もケンドリックは大好きなので、必ずCDを入手するつもりです。

ケンドリックはアメリカのヒップホップが長年築き上げてきたイメージをいい意味で壊しているというか、まじめで、ストイックで、欲がなくて、芸術家気質の強い人です。そしてまたあの嫌な思い出を蒸し返すことになるのですが、E SENSを中心に韓国でも大騒ぎになった「Control大乱」の首謀格でもあります。E SENSを取り巻く韓国版「Control大乱」の詳細は過去記事に詳しく書いてありますので、以下のリンク先を上から順に読んでいただければと思います。

 

ところで厳密に言うと、今朝方のE SENSのツイートは、2度目の逮捕報道以来、初めてというわけではないのです。去年12月頃だったでしょうか。一度だけ突然インスタグラムを更新したことがあり、それがツイッターにも自動で投稿されたのだと思います。

インスタグラムに投稿されたのは、PCの画面を撮影した動画でした。スクリーンには曲名が並んでいて、新曲らしきものが再生されていて、曲作りをしていることを思わせる内容でした。『The Anecdote』はお蔵入りになるだろうと諦めかけていたときだったので、突然の状況に有頂天になったのですが、気が付いたら数時間後には全部消されていました。

過去にそんなことがあったので、今回はあまり期待しないようにしていたのですが、今回はちゃんと新曲もアップされました。そして聴いてみると、先日一瞬だけインスタグラムにアップして、すぐに消されちゃったあの曲だったんです。私にとっては「幻のあの名曲」という位置付けだったので、これはかなり嬉しいサプライズ・プレゼントとなりました。

あのとき有頂天になりながらも、10秒程度のその動画を30回くらいリピートしてたので、ビートはしっかりと覚えてたのです。センスちゃんは大丈夫かなぁ? やさぐれてないかなぁ? なんて思っていたときだったので、「俺はここにいる、俺はここにいる」とリピートしている歌詞を聴いて、ああ、姿は見えないけどセンスちゃんは大丈夫なんだ。ちゃんと生きてるんだ。「俺はここにいるよ」ってメッセージを送ってくれたんだ。

 

私に。

 

って思いました。ええ、ビョーキです。

一瞬だけインスタグラムにアップされたときは、フックの部分しか流れてなかったのですが、こうして全体を聴いてみると、ベースラインがとても素敵な曲ですね。そして軽いサウンドも、肩の力が抜けたトーンのラップも、どちらも意外でした。1度目の逮捕から執行猶予つき判決を受けた後の復帰作『毒』は重苦しいものだったので。

すぐに歌詞も解読してみました。2度目の逮捕に関して一切のコメントも出さなかったE SENSが、それ以来一番最初に出す歌詞はどんな内容なんだろうと気になって。前回の『毒』では、私が史上最強に暑苦しい記事「Column | E SENS 『독 (毒)』 歌詞和訳&分析」を書くことになってしまったけど、今回はどんな歌詞なんだろうとドキドキしながら読んでみると、『毒』での内省的な感じとは違い、どこか達観しているような印象の歌詞でした。

達観はしているんだけど、でもやはりどこか迷いがあるというか。E SENSの歌詞からは、いつも見せかけの自信の裏に隠れる自己否定のようなものを感じます。大丈夫であることを装っているけど、本当は全然大丈夫ではなくて、自己を受け入れていないがために、ダメな自分であることにある種の安堵感を覚えるような、そんな心理状態が垣間見えて、そしてそれがまたE SENSの魅力なのだと思ったりもしています。歌詞は下記リンク先よりご覧ください。

Lyrics | E SENS – Sleep Tight

 


 

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Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者。イギリスでの音楽留学経験を生かした音楽的に深みのある記事が売り。独自スタイルのライブ企画、楽曲リリースのコーディネート、ライター活動、各種メディア出演など、韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。別名ヴィヴィアン。
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