Album | Gaeko - Redingray


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Dynamic DuoのGaekoが、デビュー10年を経て初めてのソロアルバムをリリースしました。しかも2枚組です。Dynamic Duoとしてデビューしたのは2004年ですが、最初のデビューはK.O.Dのメンバーとして1999年だったので、15年を経て、とも言えますね。

10月17日にリリースされた今回のアルバム『Redingray』。最初にタイトルを見たときは「Rから始まる知らない単語」と思ったのですが、アートワークを眺めていたら「Red in gray」であることに気がつきました。アートワークもグレーの背景の真ん中に赤く燃える炎が描いてあって、タイトル通り「グレーの中の赤」ですね。そしてその赤い炎をよく見ると、都会のビル群のような形をしています。

気になって調べてみたところ、グレーの背景は荒涼とした都会で交錯する愛、別れ、怒り、感動、嫉妬などを表しているそうで、赤い炎はその中に置かれた人間の感情を表しているそうです。同時に、これまでChoizaとともに2人で作り上げてきた作品とは違い、Gaekoという1人の人間の個人的な視点から描かれた今回のアルバムは、白と黒が混ざり合ってできたグレーのように、中立的な視点で人々の欲望などを観察したことを表しているのだとか。赤は、そのグレーの視点の中に隠された本能を表しているのだそうです。

トラックリストは以下の通りです。

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ざっと聴いてみたところ、『Passout』と『Hueng Hai』という曲が気に入りました。2曲ともブルージーで、それぞれフィーチャリングしているBumkeyとAileeの歌唱力が半端なく高いです。ほかにも『Snapper Ending』と『Mr. Vengeance, Part 2』など、Gaekoらしいビートの強い曲も素敵です。去年リリースされたシングル『될 대로 되라고 해』も収録されています。

 

この曲は、Ugly DuckとZicoとCrushが発表したリミックスも良かったですね。Gaekoのオリジナルのほうは『HIPHOPPLAYA Awards 2013』で惜しくも『今年のシングル』を逃しましたが、こちらのリミックスは『今年のコラボ』を受賞しました。

 

今回のアルバム『Redingray』は2枚組で、9曲ずつ全18曲が収録されているのですが、ほとんどの曲の作詞・作曲・編曲をGaeko自身が手掛けていて、しかも半分以上の曲でキーボード演奏までしています。Gaekoの音楽的才能が詰め込まれたアルバムなんですね。この2枚組構成というのも、元々は1枚で構成していたそうなのですが、「グレー」と「赤」というテーマに合わせて2枚組に再構成したそうです。

芸大を出ているGaekoは、画家としての才能も高く、これまでのDynamic Duoのアルバムのアートワークも多くをGaekoが手掛けてきています。ここ最近は、Gaekoがアートワークを手掛けることが減ってきたのですが、いつもGaekoが描いてしまうとみんな似たり寄ったりになってしまうので、別の作家に頼むことが増えたそうです。せっかく世の中にはいい作家もたくさんいるので、そういった人たちと一緒に良い作品を作りたいと思うようになったんだとか。

アートワークに限らず、音楽性においても、アイデンティティを守りながら変化していくことに頭を悩ませているそうです。トレンドに乗ることと、Dynamic Duoらしさを守ること、その2つの間でジレンマがあるようなんですね。そういった理由でこれまでDynamic Duoとして発表できなかった曲が、今回のアルバムに収録されているそうです。

今回プロデューサー陣がバラエティに富んでいるのも、同じ理由からです。いつも同じプロデューサーたちと作っていると、サウンドがマンネリ化すると思い、新しいプロデューサーを探していたときにRhythm Powerが新人プロデューサーのCode Kunstを紹介してくれたそうです。ほかにもSimoやThe Platonixなどのプロデューシングによって、最新のEDMなどのトレンドが取り入れられています。

これまで収録できなかった曲を集めて作ったものだと言う割には、アルバムの流れが非常に良くできていて、全体のストーリー構成がうまくいっているところがすごいです。たとえば『Passout』では見栄を張ることの虚しさを歌いつつ、次の曲『Seoul Blues Part.3』では夜や夜景をテーマに都会での人生を歌い、その次の『East』では狂気漂うクラブで酔っ払うストーリーになっています。続いて『Chaser The Rapper』で「俺は今、酔っている」と完全に泥酔して、そのまま『Oh My God』で「昨日の二日酔いのせいで胸焼けがする」と続いていきます。

ところで『Chaser The Rapper』は、1枚目と2枚目の両方にそれぞれPart 1、2として収録されていて、どちらも「俺は今酔っている」というフレーズで始まります。そして『Redingray』と数日違いでリリースされたEpik Highのニューアルバム『SHOE BOX』に、Gaekoが参加した『Burj Khalifa』という曲があって、その曲でもGaekoのラインは同じく「俺は今酔っている」で始まるんです。それで『Burj Khalifa』にはGaeko名義ではなく「Feat. Chaser The Rapper」と書いてほしいと頼んだそうなのですが、すでにアルバムが完成していて間に合わなかったんだとか。

ファンの間では賛否が分かれている本作ですが、Gaeko曰く、このアルバムはじっくりと時間をかけて作ったものだから、じっくりと聴いてから評価してほしいとのことです。

 


 

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Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者。イギリスでの音楽留学経験を生かした音楽的に深みのある記事が売り。独自スタイルのライブ企画、楽曲リリースのコーディネート、ライター活動、各種メディア出演など、韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。別名ヴィヴィアン。
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