Column | Paloaltoのツイートから思うこと


昨日B-Freeの新曲『My Team』に関する記事をアップしましたが(これ)、Paloaltoが今朝、絶妙なタイミングでご意見ツイートをしました。自身の音楽に対するスタンス、最近の風潮について感じていることなどを述べたツイートなのですが、昨日『My Team』の記事をアップしたばかり&ライブ主催者の私としては、読んでてちょっとギクッとしちゃった部分もあったりして(笑)

アルバム『Chief Life』のインタビューを読んだ時も、自分の音楽性や活動方式に対して本当に強い信念を持っている方なんだなーと思いました。そういった部分は普段から歌詞にもよく表れていて、まさにそこがPaloaltoの魅力のひとつだと思います。過去に歌詞をいくつか和訳しているので、ご興味があれば読んでみてください。

 

ってなわけで、Paloaltoの今朝のツイートを和訳します。

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<翻訳>ツアーを含め、最近多くのライヴを通して色々な人々と向き合った。ある人は僕を見て、今回のアルバムをよく聴いていて『다 뻥이야(全部ホラだ)』が一番良かったと言い、ある人はHI-LITE最高! と言いながらIllionaireのハンドサインをし、ある人は過去に僕がSoul Companyに所属していたと思っていた。

※『다 뻥이야(全部ホラだ)』はJerry.kの曲

 

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<翻訳>とにかくそういう人たちが僕を歓迎し、写真も撮ってサインももらっていったけど、もしかしたらその人たちは僕についてあまり関心がないということもあり得る。それとも気がせっていたのか……。

 

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<翻訳>『3호선 매봉역(3号線メボン駅)』や『이 밤이 지나고 나면(この夜が過ぎたら)』、『드디어 만났다(ついに会った)』くらいで、僕の他の曲をよく知らないなら、それは僕のファンではなくその曲のファンだ。

 

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<翻訳>僕は人気を得るために親切に見せかけたり、ファンサービスをしようとはしない。したくもない。そうやって音楽を作ってライヴをすることはない。僕がちょっと馴染みの仲になったと、友人に対するように生意気に行動する人も嫌いだ。僕のことをどれだけ知っているというのか。

 

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<翻訳>この文化についてよく知らない企画者、ヒップホップサイト、あるいはページ、ミュージシャン、ただ好きなだけなら一人で趣味として楽しめばいいだろう。そんなことが増えるから、この子もあの子もみんな全く同じになってしまったんだ。人気やお金を望むなら、これ以外にも成功できる方法はたくさんある。

 

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<翻訳>こんな話を音楽に込めることも、もう僕には無駄だと思います。すでに数多くの曲に込めてきたから。黙々と僕の歩みを応援してくれる方々には、心より頭を下げて感謝いたします。

 


 

Paloaltoの『Chief Life』のインタビュー、Huckleberry Pのインタビュー、それから『My Team』の歌詞、上にリンクを貼ったPaloaltoの歌詞などを読んでいくと分かると思うのですが、HI-LITEに所属するアーティストたちが一貫して伝えてきていることがあります。それは、自分たちの音楽や活動方式と誠実に向き合うということです。

HI-LITEは自分たちの音楽や活動方式に誇りを持っていますし、自分たちの音楽を愛してくれるファンを大切にする一方で、金儲け主義のビジネスマンやミュージシャン、音楽の話をしないミーハーファンなどに対してはことごとく否定的です。実際に彼らと会って話してみて、そういった部分をより強く感じました。「自分たちをK-POPと一緒にして欲しくない」というこだわりはかなり強かったです。

B-Freeが去年、ラジオの公開放送で、アイドルラッパーの子に「ディス」と受け取られるような質問攻撃をした事件はご存知の方も多いと思います。HI-LITEのメンバーは良くも悪くも自分たちの価値観に基づいて、受け入れられることと受け入れられないことをキッパリと区別しています。それが他の人の価値観と大きく相違しているかどうかは関係なくて、ただ自分たちのやり方に信念を持っているんです。

ありふれた表現ですが、私はアーティストとファンの関係というのは、お互いを映す鏡だと思っています。お金や名声を得るためにプライベートを切り売りするアーティストには、そのアーティストが作り出す音楽よりもルックスやプライベートの話ばかりするファンが付いているように思います。音楽に強すぎる信念やこだわりを持ったアーティストには、音楽に口うるさいファンが付きます。攻撃的なアーティストには攻撃的なファンが付き、感傷的な曲ばかり歌う歌手にはポエムがちなファンが付きます。生き様を歌う歌手はファンにとっての道しるべとなり、礼儀を重んじるアーティストのライブではファンのマナーも良くなります。

ヒップホップファンはB-Freeの発言に共感する人が多いだろうし、アイドルファンはアイドルラッパーの子を擁護したくなるのだろうと思います。どっちが正しいとか間違ってるということはなくて、人間には様々な価値観があるように、アーティストやファンの価値観も様々なんだと思います。Paloaltoがここで言っていることもあくまでPaloalto個人の価値観なのであって、人気やお金のためにやる人がいるのも仕方がないし、ヒップホップや音楽に深い理解がなくても楽しむファンがいてもいいと思います。曲や所属レーベルを間違って覚えているのはマズイですけどね(笑)

HI-LITEのように好き嫌いはっきりした姿勢に対しては、様々な意見があると思います。価値観は人それぞれですので、どのように感じるかはその人の自由だと思います。そして私個人の価値観としては、HI-LITEはかっこいいと思います。信念を強く出しているアーティストが好きなので。それに、アメリカのジャズやらイギリスのロックやらをウン十年聴いてきている私にとっては、PaloaltoやB-Freeの発言は全然生ぬるいもんですし。

私は人気やお金のために音楽ビジネスをやる人がいても仕方ないと思うし、ヒップホップや音楽を浅く楽しむファンがいてもいいと思います。でも、私自身はお金のために音楽ビジネスはやりたくないし、音楽を深く追求しながら楽しんでいきたいと思っています。やり方も楽しみ方も個人の自由だけど、自分のやり方と楽しみ方を自分自身で理解していることは大事なんじゃないかなって思います。「俺は金儲け主義だ!」とか「私は顔が好みの歌手しか聴かない!」って開き直っても全然いいと思う。これからもアーティストの皆さんには炎上を恐れずに言いたいことは言っていって欲しいし、ファンも自分の価値観が間違ってるんじゃないかって圧迫されないことを願います。

Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者。イギリスでの音楽留学経験を生かした音楽的に深みのある記事が売り。独自スタイルのライブ企画、楽曲リリースのコーディネート、ライター活動、各種メディア出演など、韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。別名ヴィヴィアン。
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