Topic | E SENSが『You Can't Control Me』でGaekoをディス


本日8月23日、E SENSが新曲『You Can’t Control Me』を発表しました。一言で言うと、元所属レーベルであるAmoeba Cultureと、そのAmoeba Cultureの経営者でもあるDynamic Duoの Gaeko に対するディスソングなのですが、本題に入る前に、この曲が出ることになった背景から説明したいと思います。

まず先週、アメリカでBig Seanの『Control』という曲がリリースされました。この曲にフィーチャリングしているKendrick Lamarのリリックが、久々に「出たー!」っていうレベルのディスで、かつてのThe Notorious B.I.G.と 2Pac のような悲劇が再発したらどうしようと勝手にドキドキしていました。

 

どれだけ凄いディスなのか知りたい方は、「CRUNK Entertainment」様のブログの解説が詳しくて分かりやすかったので、よろしければこちらの記事をご覧になってみてください。

アメリカのヒップホップ文化に詳しくない人でも、かつて東海岸と西海岸の間で強烈な抗争があったということは聞いたことがあるのではないかと思います。特に一番有名なのが、先述したThe Notorious B.I.G.と 2Pac のバトルでしょう。それぞれ東と西を代表するラッパーでしたが、東西のヒップホップ抗争の末に2人とも銃殺されるという結末を迎えてしまいました。誰が犯人だったのか、真相は今もはっきりしていません。

Snoop Dogg がまさかの「LOVE & PEACE」を唱えるくらいすっかり時代も変わったので、なんだかんだ言ってもかつての悲劇が繰り返されるようなことはもうないとは思いますが、それでも「血の気が多いA$AP ROCKYあたりはどう返すのだろう?」なんてドキドキしていたら、案外丸く収めてきました。A$AP ROCKYの反応は、こちらの記事が詳しいです(英語)。

この記事の中でA$AP ROCKYが語っている内容を大幅に端折って要点だけ訳すと、「名前が登場しなかった奴らが怒ってるだけだろう。ただのラップじゃないか。彼は問題を起こしたいのではなく、競いたいだけだ。ヒップホップにはこういうことが必要なんだ。スポーツとか文化みたいなもんだ。自分のことを “キング・オブ・ニューヨーク” と呼ぶのはいただけないが、Kendrickが俺たちの世代の中で最も才能があるうちの一人であることは間違いない」って感じです。

とはいえ、多くのアーティストたちから続々とアンサーソングが発表されています。一曲一曲を追っているわけではありませんが、だいぶヒートアップして面白い状況になっているようです。久々にヒップホップ・ゲームに火をつけて盛り上がらせたという点では、今回のKendrick Lamarの目的は見事に達成できたということではないでしょうか?

 


 

さて、E SENSの本題に入ります。

数日前、ラジオ番組の中でE SENSが今回の『Control』の騒動について、電話インタビューで語っていました。韓国語のレッスンに数回行って挫折中という私には、当然何を言ってるかサッパリ理解できなかったので、E SENSの見解がとっても気になっていたんです。

そしたら今日、なんとE SENSが『Control』のアンサーソングを発表したというではないですか! それがこの記事の本題である『You Can’t Control Me』という曲なのです。「Control(コントロールする)」という曲名に対して「You Can’t Control Me(お前は俺をコントロールできない)」ということで、うまいこと言うな~なんて呑気に構えていたのですが、歌詞を読んでみるとKendrick Lamarに関する言及はなく、Amoeba Cultureと Gaeko に対するディスだったんです。ビートは『Control』を使ってるんだけど。

E SENSがAmoeba Cultureを離れた件についてはこれまでも記事にしてきましたが(下記参照)、ま・さ・か・の・ディスーー!!!!!

 

E SENSのことも、Amoeba Cultureのことも、Dynamic DuoやGaekoのことも大好きな私にとっては、とんでもない破壊力の爆弾がE SENSから落とされたような気分です。完全にテロ。だけどしA$AP ROCKYの言うように、こういうのはヒップホップには必要な文化なんだろうし、E SENSって元々Amoeba Cultureからデビューする前はディスもよくやってたし、本来の自分らしいスタイルのラップが久々にできてスッキリしたかな? いや、しないか……。

Gaekoはどう返してくるでしょうか。揉め事はイヤだと思ってしまうのは、ヒップホップファンとしてはダメダメでしょうか。韓国ではかつて、MovementクルーとYG Entertainmentの間でもドロドロなディスバトルが起こったことがあります。だけどその当時Movementサイドの中心人物だったEpik Highが、今やバトル相手だったYGに所属していたりして、人生いろいろって感じですね。果たして今回のディスは、どんな結末を迎えるのでしょうか?

ってなわけで、E SENSによるアンサーソング……というか、Amoeba Cultureと Gaekoへのディスソング、『You Can’t Control Me』の曲と歌詞をご覧ください。

 

E SENS – You Can’t Control Me

누가 말했지
誰が言ったのだろう

래퍼의 수명은 아무리 길어봤자 5년
ラッパーの寿命は 長く見ても5年

난 그것보단 오래하려나봐
俺はそれよりも長くやろうとしたようだ

날 기억하는 거 보면
俺のことを覚えているのを見ると

난 래퍼들의 무덤
俺はラッパーの墓

그 밑 깊숙히 들어갔다 다시 나왔지
その下の深い所まで入ってから 再び出てきた
※E SENSは2011年に大麻喫煙により逮捕され、2年近い活動自粛を経て復帰した。そのことを語っていると推測される

어떤 이는 익숙치 않을 지금의 내 모습
人によっては見慣れない 今の俺の姿

어쩌면 완전한 부활
もしかしたら完全なる復活

그게 아니면 반쯤 썩은 좀비
それとも半分腐ったゾンビか

누군가 와서 파내준게 아냐
誰かが掘り起こしに来るんじゃない

내 할 일을 대신 해 줄 사람은 있지도 않지만 원치도 않지
俺の代わりをしてくれる人なんていやしないが 望んでもないさ

이 시기와 지금 이 beat
この時期と今が このビート

내가 뱉을 몇십 줄은 래퍼들의 위기 혹은 기회
俺が吐き出す数十行は ラッパーの危機と機会

난 팔짱끼고 시뻘건 얼굴숨기며 여유있는 척
俺は腕組みをして 真っ赤な顔を隠して 余裕のあるふり

그런 거 안해
そんなことはしない

그런 거 잘하는 타입 따로 있어
そういうことが上手なタイプは ほかにいる

걔는 raw 한게 아냐 그저 익다 말은 rare
そいつはRawなんかじゃない ただよく言う言葉はRare
※Rawは「生(なま)」という意味だが、ヒップホップスラングでは「最高だ」「素晴らしい」という意味。Rare(レア)は肉の焼き方で、同じく「生」という意味

한 두번 씹히고 몇시간 뒤 내 변기밑에
1~2回噛み砕いて 数時間後には俺の便器の中へ
※韓国語で「噛む」は相手を罵るという意味もある。レアの肉を噛み砕く=Raw(最高)ではないお前のことを罵る、という意味だと解釈できる

반면에 나는 언제나 well done
反対に俺はいつでもWell done
※Well doneは「うまくできた」「上手だ」などの意味だが、肉の焼き方でしっかりと焼いた状態(ウェルダン)という意味もある。Raw(最高)ではなくレアなお前とは違って俺はウェルダン(上手)だ、という意味だと解釈できる

니가 급하게 씹어볼래도
お前が急いで噛んでみても

괜히 니 숨구멍만 맥혀 호흡곤란
わけもなく お前の器官だけ呼吸困難

니 옆사람들은 니 등을쳐
お前のそばにいる人たちは お前にたかる

결국 니가 뱉은 건 오물
結局 お前が吐いたものは汚物
※ここで言う「吐く」とは「ラップする」という意味

토했으면 무릎꿇어
嘔吐したなら 膝を屈めろ

막무가내로 덤비는 멍청이와 비겁해진
頑として飛びかかる 馬鹿で卑怯な

메이져 랩퍼가 씬의 4분의 3을 채웠네
メジャーラッパーが シーンの4分の3を満たしたね

한국힙합은 반죽음
韓国ヒップホップは半殺し

옆에 널린 시체  
横に散らばった死体

유통기한 지난 니 rhyme 의 방부제
賞味期限が過ぎたお前は ライムの防腐剤

지폐 연예인 아닌 척
紙幣芸能人じゃないふりをして

한국힙합 후배를 위해
韓国ヒップホップの後輩のために

한 몸 다 바치듯 연기하며 사기를 치네
身を捧げるように演技して 詐欺を働くんだな

회사는 발목을 자르고 목발을 줘
会社は足首を切って 松葉杖を与えて

내가 걷는 건 전부 지들 덕분이라고 턱
俺が歩けるのは 全部自分たちのおかげだと

쳐들어올리고 지껄여
顎を上げて ベラベラとまくし立てる

말 잘 들으면 휠체어 하나 준대
よく聞いてみると 車椅子もくれるって

니들이 팔려고했던 내 인생
お前らが売ろうとした 俺の人生

쉽게 내주지 않아 내 boss 는 나
簡単には渡さない 俺のボスは俺だ

사람 좋은 듯이 위선 떨어 대지마
いい人のふりをして 偽善になるな

니넨 니들 스스로에게도 비즈니스 맨
お前らは 自分たちに対してもビジネスマン

그건 니 안의 소리에 대한 디스리스펙
それは お前の心の声へのディスリスペクト

궁금해 걔네가 나한테 저지른 양아치짓에
気になる あいつが俺に犯した乞食業

입 닫고 눈감은 여우의 피도 뜨거워 질지
口を閉じて 目を閉じたキツネの血も熱くなるのか

내 얼굴에 떡칠해놨던 메이크 업 다 씻어
俺の顔に塗りたくったメイクを 全部洗い落として

내는데 걸린 시간 아무리 짧게 봐도 2년
出てくるのにかかった時間は 短く見ても2年

예전에 뱉어놓은 말
以前吐き出してた言葉

이제는 죽어도 지켜
今は死んでも守る

The mind state of a winner
勝者の心理状態

모든 스튜디오는 나의 gym
すべてのスタジオは 俺のジム

넌 한입짜리 프로틴
お前は一口のプロテイン

비계 낀 니 정신 도려내 주께 마취 없이
足場に挟まったお前の精神を 麻酔なしでえぐり取る

이거 듣고나면 대답해 개코
これを聞き終えたら答えてくれ、Gaeko

지난 5년간 회사안에서 날 대했던 것 처럼
過去5年間 会社の中で俺に接したように

뒤로 빼지마 날 위한 마지막 존중
後ろに逃げるな 俺のための最後の尊重

미리 거절했으니 병사 대 병사로 전투
最初から拒絶したから 兵士対兵士の戦い

착한사람 코스프레 fuck that
善良な人間のコスプレ クソくらえ

더럽게 얘기해도 솔직해져 봐
汚なく話してもいいから 正直になってみろ

제일 얍삽한게 너인게
一番ずる賢いのはお前だと

아무리 생각해도 난 다듀 군대 땜빵
どう考えても 俺はDynamic Duoが軍隊中の穴埋め
※Supreme TeamはDynamic Duoが兵役に行く際にデビューし、Amoeba Cultureの代表アーティストとしてレーベルの人気を支えた

후배의 존경 이용했지
後輩の尊敬を利用したんだろう

내게 설명해봐
俺に説明してみろ

니 옆의 랩 퇴물을 비롯해
お前の隣にいるラップ崩れをはじめとして
※Gaekoの相方のChoizaのこと(苦笑)

나머진 새끼들 다 쓰자니
残りのヤツら皆のことを書くには

너무 아까운 내 볼펜
あまりにももったいない俺のボールペン

다 알아듣겠지 패스
みんな分かるだろう パス

10억을 달라고? 아메바 컬쳐 kiss my ass
10億くれるって? Amoeba Culture クソ野郎

니들 잘하는 언론 플레이 또 하겠지
お前らは 得意の言論プレーをまたするだろう

날 배은망덕한 새끼로 묘사해놓겠지
俺のことを 恩を仇で返したヤツだと言うだろう

I’m no.1. 인정하지 못하겠다면
俺がNo.1だ それが認められないと言うなら

mc 로서 얘기해
MCとして話をしろ

니네 누나 찾지 말고
お前の姉さんを探さずに
※姉さんとはAmoeba Cultureの社長のこと。この女性社長はかなりのやり手で、レーベル運営におけるすべてを牛耳っていると言われている

 


 

辞書を引きながら翻訳してみましたが、あまり自信がありません。誤訳している部分もあるかもしれませんが、言ってることの大筋はつかめると思います。誤訳があれば、Twitter等でご指摘お願いします。

最後に、今回の『Control』に関してディス曲を発表した韓国人ラッパーたちの現時点でのリストを載せておきます。

  • Swings – King Swings
  • Ugly Duck – ctrl+alt+del *2
  • TAKE ONE – Recontrol
  • Deepflow – Self Control
  • VEE X KILLA (X ELECTRO) – CONTROL RMX

わずか数日で続々と出てきてますね。ってか、例によってディスバトルが大好きなSwingsが火付け役だったようですね。どうやらSwingsがこのE SENSの件を言い始めて、まずはUgly Duckが乗っかって、今回E SENSも乗っかったっていう流れのようですね。

全部は聴いてないんだけど、とにかくKendrik Lamarを発端になぜか韓国で一番盛り上がってしまったディスバトル。韓国のラッパーたちがそれぞれの本音をぶつけ合い始めています。これからどのような流れになるのか目が離せません。

 


 

参考:Control大乱 関連記事一覧

 

Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者である鳥居咲子は、幼少期よりピアノと音楽理論を学び、ロンドンに音楽留学をした。現在は音楽記事の執筆、ライブ主催、楽曲リリースのコーディネート、メディア出演など、韓国ヒップホップに関する様々な活動を展開している。著書に『ヒップホップコリア』。音楽以外に関するネタを集めた趣味ブログ『BLOOMINT DIARY』も運営中。別名ヴィヴィアン。
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