クルー紹介/不汗黨 (ブランダン)

Written By Sakiko Torii

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韓国ヒップホップ・クルーを紹介する本コーナー。第1回目の「Movement」、第2回目の「I.K」に続いて、第3回目となる今回もまた、私が個人的に好きなクルーの紹介をしようと思います。

今回ご紹介するのは「不汗黨(ブランダン)」というクルーです。韓国語では「불한당」と表記します。一度見たら忘れない、インパクトのあるロゴをお持ちです。

bullhandang_logo.jpg
4月に書いた記事「Topic | HIPHOPPLAYA Awards 2012 結果発表」の中に「今年のヒップホップ音楽界ニュース」という部門があって、不汗黨の結成は4位に選ばれました。つまり昨年結成されたばかりのできたてホヤホヤなわけですが、結成されたということがニュースになっちゃうなんて、一体どういうことなんでしょうか? それは人数の多さだけでなく、所属メンバー全員が超スーパー大御所というとんでもないモンスタークルーだからなのです。

2013年6月現在のメンバーは以下の通りです。

A.Jay
Artisan Beats
Che Young
Daephal
DJ Skip
DJ Pandol
Fascinating
Jay Kay
Kebee
Keeproots
MC Meta
Minos
Naachal
Nuck
Optical Eyez XL
P-type
RHYME-A-
Sean2slow
Snowman
The Z
Wimpy

bullhandang1.jpg

 

メンバーのうち、Garion(MC Meta、Naachal)とNoise Mob(Minos、RHYME-A-)の二組は、今年2月にアメリカの有名ヒップホップ雑誌「XXL Magazine」で「知っておくべき15組の韓国ラッパー」として紹介されました。まだ読んでいない方は、ぜひこちらをご覧ください。

不汗黨について簡単に説明しますと、彼らは昔からいつも一緒にいた仲間たちで、所属事務所やレーベルは関係なく、一緒に音楽活動をするためだけにクルーを結成しました。「不汗黨」とは彼らが作った造語なのですが、不汗な党、つまり「汗を流さない集団」という意味だそうです。メンバー全員が30~40代ということで韓国のヒップホップシーンの中ではだいぶ年齢が上になるのですが、「まだまだ汗はかいてないぞ」ということですね。

また、「ヒップホップシーンが眠らないように目を覚まさせる新たなエネルギーの音楽活動をする集団」という意味も込めているそうで、クルーを一言で表現するなら「喚起」だそうです。この記事の冒頭に貼った赤いロゴはメンバーのJay Kayがデザインもので、三国時代に高句麗の古墳で使われていた鬼のお面と、漢字の「黨」(日本語では「党」)を合わせたものだそうです。

クルーのコンセプトは「韓国らしいヒップホップ」ということで、英語は少なめにして韓国語を中心に書いた歌詞、韓国の文化や生活をテーマにした歌詞、韓国の伝統楽器を取り入れた演奏などを大切にしています。

そんな不汗黨が、今月アルバム『절충3 : 불한당들의 진입과 전투(折衝3:不汗黨たちの進入と戦い)』をリリースしました。MC Metaをはじめとする不汗黨の一部のメンバーが『折衝1』をリリースしたのが2002年、そして『折衝2』は2003年にリリースされました。今回は実に10年ぶりに「折衝」の名前を引き継いで、不汗黨として新作がリリースされたわけです。不汗黨は形式上は去年の結成となっていますが、実際には昔から一緒に音楽をやってきた仲間同士で、このアルバムの制作には約3年を費やしたとのことです。

bullhandang_album.jpg

- トラックリスト -

01. 진입과 전투
02. 불한당’s oblige
03. 혀를 파지
04. 불한당가 (不汗黨歌)
05. 행복한 거래
06. 해넘이
07. Real Talk
08. Beam
09. 하몽 pt.2
10. 한길을 걸어가라 Remix

 

タイトル曲の『불한당가(不汗黨歌)』は、ミュージックビデオも公開されています。韓国の伝統的な太鼓や舞踊が使われている素敵な映像です。P-type(3人目)のパート、猛烈にライミングしていて圧倒されます。シンプルなピアノのループによく栄えています。エンディングのエレキギターもかっこいいです。

ビデオの演出はクリエイティブ・プロダクション「Naive」が担当していますが、伝統楽器や伝統舞踊を用いるというコンセプトは、もう10年ぐらい前からメンバー皆で考えていたものだそうです。ちなみに4人のMCはそれぞれ青龍、白虎、朱雀、玄武の四神を表しているそうです。

 

次の動画『한길을 걸어가라(ひとつの道を歩け)』は、去年の秋にオフィシャルで音源が公開されたものです。アルバムにも収録されています。

 

そして今月2日に釜山のBEXCOで開催されたショーで、不汗黨が新作の『不汗黨歌』のパフォーマンスを行いました。カメラマンのEtchForteさんが撮影したこちらの動画の10:52からその模様が観れます。めちゃくちゃかっこいいです。韓国語の分かる方は、動画の前半のアルバム紹介もぜひお楽しみください。

 

最後に興味深い動画をもうひとつご紹介します。P-typeがメンターとして、Illtong、Loco、Cheetahの3人にプリプロ(本レコーディングの前に行う仮レコーディング)のトレーニングをしている場面です。

CheetahはCrushのインタビューにも書いてあった通り、以前Crushと一緒にMasterpieceというデュオをやっていた方ですね。Locoも同じインタビューの中に登場しますが、VV:Dという粒ぞろいの5人が集まったクルーのメンバーです。昨年放送されたラップ・サバイバル番組の『Show Me The Money』で優勝しました。

 

このように不汗黨は、今後もアマチュアや新人などにライブの機会を提供したり、パフォーマンスの短期トレーニングやプリプロの機会を提供して継続的にサポートしていくそうです。

すでに音楽学校でラップやビートメイキングのレッスンもやっていますし、MC Metaに限っては2000年頃からヒップホップ講座を開催していて、その講座の受講生が当時高校生だったKebeeやThe Quiettだったりします。P-typeも以前から学校で音楽を教えていますし、実は何を隠そう、あの2NE1のCLに一からラップを教えたのはP-typeなんですよ! 自分が活躍するだけじゃなく、次世代を育てようとするところが魅力的ですね。

以上、非常に簡単ではありますが、不汗黨のご紹介でした!

 

※後日追記:『불한당들의 진입과 전투 (折衝3:不汗黨たちの進入と戦い) 』のリリース時のインタビューを翻訳しました → 「Interview | 不汗黨 – 折衝3 by HIPHOPPLAYA

 


 

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