Supreme Team「僕たちの虚勢や傲慢をフォーマットした時間」インタビュー by 聯合ニュース

Written By Sakiko Torii

Supreme Teamの活動停止から復帰までの道のりについてご存知のない方にとっては、まずこちらを読んでいただいたほうが、このインタビューの内容が伝わりやすいのではないかと思います。

最後の2人の言葉にジーンとしました。男同士の熱い絆を感じて胸が熱くなってしまい、グッと込み上げてくるものがありまして。メディア向けに用意した言葉ではなく、自分たちの感じていることを率直に語る、そんな2人が大好きです。だから彼らの音楽はこんなにも心に響いてくるのですよね。

 


 

Supreme Team – 僕たちの虚勢や傲慢をフォーマットした時間

 

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E-Sens 大麻疑惑で2年半ぶりに新曲発表
シングル『그대로 있어도 돼(そのままでいてもいい)』各種音源チャート1位

いつも賑やかだったヒップホップ・デュオのSupreme Teamは、今までとは違って物静かに見えた。2人とも「風邪を引いてるから」と言っていたが、2人一緒にメディアと向き合うことがぎこちないように映った。

2009年にデビューしたSupreme Teamは『Supermagic』『Dang Dang Dang』『그땐 그땐 그땐(その時 その時 その時)』などを相次いでヒットさせ、Dynamic Duo、LeeSsangに続く次世代ヒップホップ・チームとして注目されていた。アンダーグラウンドで実力を磨いた2人の内功がある(※)ラップと才覚ある音楽はかなり魅力的だったからだ。

※ 内功:気功から来ている言葉。韓国語で「内功がある」というときは「外部の環境に負けない」「屈さない実力を持っている」という意味になるそうです。「内功を積む」と言えば「内面を鍛える」という意味になるそうです

しかし2011年11月、E-Sensが大麻を吸った容疑で活動を中断して、Supreme Teamは1年余りの空白期間を持った。

E-Sensの自粛期間を終え、彼らは最近シングルアルバム『Thanks 4 The Wait』を発表した。タイトル曲『그대로 있어도 돼(そのままでいてもいい)』は、公開直後に各種音源チャートで1位を総なめにした。放送活動もなく音源公開だけだったが、新曲を出したのは2年半ぶりということでファンからの期待が反映された結果だった。

麻浦区西橋洞にある所属会社、Amoeba Cultureのオフィスで会ったSupreme Teamは、「短い時間に受けたファンたちの愛がどれだけ大切なのか感じたきっかけになった」として、「空白期間中は、まるでコンピュータをフォーマットするように、僕たちに生じた傲慢や虚勢をすべて消去した時間だった」と振り返った。

「アンダーグラウンド生活をしてから突然注目されて、変わってしまった環境に適応するのが難しかったです。放送システムとも合わなくて無力感がありましたし。20代前半の僕の通帳にお金が入ってくると、すぐに自信を飛び越えて傲慢になったようです。僕の持っているものがファンと周りの助けによるものだという事実に感謝することを知らなかったんです」(E-Sens)

E-Sensの話を静かに聞いていたSimon Dは「しばらくの間、僕が単独でバラエティ番組にたくさん出演して、弟であるE-Sensに気を遣うことができなかった」と話し、「その時期に大麻に手を出して、僕のせいでもあります。気苦労で脱毛までできたE-Sensを見てとても胸が痛みました」と擁護した。

E-Sensは自らに対する自責の念と、自分のために被害を受けたSimon Dに対する申し訳ない気持ちが大きいように見えた。実際、チームはあるメンバーが芳しくないことに巻き込まれると不和が生じがちだ。周囲はSupreme Teamが維持されたのはSimon Dの力が大きかったと伝えた。

「E-Sensなしではやっていけないと言いました。一度も恨みませんでしたよ。じゃなかったら今回のアルバムも出さなかったでしょう。むしろE-Sensの事件が起こったことで、僕たち2人は毎日会ってゲームをして遊びながら一緒に過ごしました。僕の個人活動も減って、より頻繁に会いましたよ」

Supreme Teamは、昨今のアイドルグループのように企画会社の組み合わせで構成されたチームでない。2人の縁はすでに10年にもなる。

釜山出身のSimon Dと大邱出身のE-Sensは、2003年にアンダーグラウンド・ヒップホップ界で初めて知り会った。2人は釜山と大邱、ソウルを行き来しながら一緒にステージに上がって公演し、2007年にB-Boyミュージカルに一緒に出演しながらSupreme Teamというチーム名を使い始めた。

2人は昨年末から再びアンダーグラウンドの頃のようにくっついて曲を書き始めた。

『그대로 있어도 돼(そのままでいてもいい)』は久しぶりに共同作業をした2人が一番最初に作った曲だ。将来への不安感に苦しむ人々に伝える激励のメッセージと、新たな気持ちでスタートする2人の決意が盛り込まれた。

「2人でラップの歌詞を狂ったように書きました。修正点はないか注意深く見直しながら修正を10回以上しましたよ。幼い頃の無謀な覇気とは違って、作業する姿勢が非常に慎重になりました」(Simon D)

「“僕たちが帰ってきた” と力を入れたのでなく、“この程度なら大丈夫、今の状態も悪いだけではない” という心情でした。だけど歌だけは恥ずかしくしてはいけないという欲はありましたよ」(E-Sens)

新曲は反応があれば有難いという状況だったが、懸念とは異なり、各種音源チャート1位に上がって予想外の善戦をした。2人の呼吸がさらに強力になったという評価も相次いだ。

Simon Dは「僕たちの過去の曲よりも成績が良くて驚きました」として、「僕たちは愛の歌を歌ったわけでもなく、お金になる歌を作ったわけでもない。ラップの歌詞には僕たちの生活が込められているので共感されなかったかもしれない。僕たちがしたい話に対して反応が良かったのでとても幸せでした」と笑った。

E-Sensは「創作者としては良くない態度ですが、商業的な歌とそうでない歌を両極端に区別するクセができました」として、「今回の曲は大衆的でないと感じたので、音源チャート20位圏に入ればいいと思っていました。だけど反応がくると、幼い頃に僕たちが泣き叫んだ希望を見たようでした」と付け加えた。

そして彼らは7月発売を目標にアルバム作業を開始した。

Simon Dは「デビューアルバムを出したのが7月だったので、その月に新しい気持ちでスタートすることにしました」とし、「2人がプロデュースを引き受けた初めてのアルバムだという気持ちで作成します。まだ僕たちの音楽の色が曖昧で “僕たちの色を取り戻そう” ではなく、ひとまず延南洞の作業室に閉じこもることを約束します」と説明した。

対話をしていたら、2人は表情が解けてお互いに対する濃度が増した。

「僕たちはプラス、マイナスの関係なのにチームが壊れないのが不思議」として、「些細なことまで共有して音楽をしてきたおかげ」と笑った。

「Simon D兄さんは僕の人生の責任を負ってくれる人です。兄さんの息子は僕のことを叔父と呼ぶでしょう」(E-Sens)

「音楽的にはE-Sensだけが僕を刺激させます。E-Sensのラップは僕の基準では最高で、この友人がそばにいてこそ僕が発展します」(Simon D)

そして、あたかも約束でもしたように同じ言葉で話した。

「へまをしないよう一生懸命やります」

 

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出所:聯合ニュース (2013-04-03)
日本語訳:Sakiko Torii

 


 

最後の2人の言葉に涙がブワッと……。真っ直ぐで純粋な彼らの絆がその言葉から感じられて、往年の青春映画でも観たような気持ちになりました。E-Sensの「兄さんは僕の人生の責任を負ってくれる人」という言葉。これは自粛期間中に心の底から感じたことなのでしょうね。

あと、「放送システムと合わない」という言葉も気になりました。アーティストと芸能人の境目が曖昧な日本や韓国では、アーティスト気質の高い人が陥りがちなジレンマです。ステージ以外の場所で注目を浴びるのが苦手なんですよね。確かSimon Dが1人でたくさんバラエティ番組に出るようになった頃、なんでE-Sensは出ないんだって言われてたんですよね。それでE-Sensは「自分の性格をテレビで出す自信がない」って答えていたという記事を読んだことがあります。

そしてSimon Dの「音楽的にはE-Sensだけが僕を刺激させる」という言葉。これってアーティストにとって最高の褒め言葉ですよね。「僕たちは絆が強いから解散しない」とかいう言葉より何百倍もステキだと思いました。音楽的に自分を刺激してくれる唯一の人だから、一緒にやらないなんて考えられない。そんな2人は、今後も絶対に大丈夫だって確信しました。

このインタビューを読んでなによりも嬉しかったのは、復帰した今もなお率直に事件について語ってくれたことです。何も無かったことにしないこと。今後も必要があれば堂々と話してほしいです(もちろん必要なければあえて話さなくていいけど)。ここでこの話をタブーにしてしまったら、2人が今の状態にたどり着くまでの道のりであるこの1年半をすべて否定することになってしまうと思うから。ファンと向き合ってくれて本当にありがとう、と言いたいです。

 

writerSakiko Torii

BLOOMINT MUSICの創設者および編集長。韓国ヒップホップ・キュレーターとして執筆、ライヴ主催、音源/MV制作サポート、メディア出演など多方面に活躍中。イギリスに音楽留学していた本格派。著書に『ヒップホップコリア』。

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