Norah Jones (ノラ・ジョーンズ)

Written By Sakiko Torii

ジャズの名門「Blue Note Records(ブルーノート・レコーズ)」に所属するNorah Jones(ノラ・ジョーンズ)は2002年、22歳のときに発表したデビューアルバム『Come Away With Me』でグラミー賞8冠を獲得し、累計2300万枚も売れたというモンスター・シンガーです。

彼女の魅力はなんと言ってもそのスモーキーボイス。スモーキーボイスという言葉は彼女のためにあると言っても過言ではない。そしてピアノを弾く人にとっては、ノラの曲を聴くと猛烈にピアノを弾きたくなる衝動に駆られる、そんな魅力を持っています。

幼い頃、いつも独りで寂しく家にいたというノラは、母親が所有する膨大な数のLPレコードで寂しさを紛らわせていたそうです。それからカントリーミュージックやソウルミュージックのお気に入りの曲をピアノで弾き語りするようになったんだとか。高校生の頃にダウンビート学生音楽賞の「最優秀ジャズヴォーカリスト賞」「最優秀オリジナル作曲賞」を受賞し、卒業後は北テキサス大学でジャズピアノを専攻。ところが大学3年生のとき、旅行で訪れたニューヨークにそのまま住みついて大学を辞めて音楽活動を始めます。

そのニューヨークで組んだバンドがきっかけでブルーノートと契約をすることになり、先に述べたアルバム『Come Away With Me』で2002年にデビューし、そしてそれがグラミー賞を総なめとなり、一躍スターダムにのし上がったのです。


Come Away With Me

 

このアルバムに収録されている『Don’t Know Why」という曲は、知ってる方も多いかと思います。何十回、何百回と聴いても、曲の世界観と歌声にしんみり惚れ惚れしてしまいます。コードの展開が素晴らしい! 半音ずつ下がっていく部分が本当に美しいです。

 

ファーストアルバムの中で弾き語りをして一番楽しいのは『Turn Me On』と『The Nearness of You』です。ノラの曲はあまりテクニックを必要としないので、中級レベルの人でも十分に楽しめます。ファーストアルバムが一番弾き語りに適しています。ノラの曲はピアノのオクターヴ奏法がよく使われるんだけど、たまにフォルテシモな感じで強くビビーンと鳴り響くところとかが大好き。そういう部分を再現するって意味では多少のテクニックがいりますかね。テクニックてよりセンスかな。

ちなみに『The Nearness of You』はジャズ・スタンダードで、こちらの記事「Column | Ella & Louis」には色んな人が歌ったバージョンを貼っていますので、よろしければご参考までに。

そして『Turn Me On』はこちら。

 

『Turn Me On』は、イギリス映画「Love Actually」のサウンドトラックにも起用されているのですが、この「Love Actually」、私が一番好きな映画なのです。映画館でも観たし、DVDでも何回観たか分かりません。DVDもサントラももちろん持っていますが、全セリフが記載された台本すら持っています(爆)

なんでそんなに好きなのかと聞かれると、うまく答えられないんだけど。自分がイギリスから帰国してそんなに経ってない頃に公開されて、映画館で観た時に次々と映し出されるイギリスの風景に胸がキュンとしたのもひとつ。あとは出ている俳優が好き。主役のヒュー・グラントの相手役を演じたシンガーのMartine Mccutcheon(マルティン・マカッチョン)も好きだし、なにより私が世界で一番敬愛する俳優、Alan Rickman(アラン・リックマン)が出ていますからね。アラン・リックマンに関してはこちらの記事「Song | Texas – In Demand」でも熱い想いを語っています。

そして2年後の2004年には、セカンドアルバム『Feels Like Home』がリリースされました。セカンドでは『Sunrise』という曲が有名ですね。この曲もグラミー賞を受賞しました。ウッドベースの音が痺れます。


Feels Like Home

 

カントリーミュージックに影響を受けたというセカンドですが、がっつり分かりやすくカントリーなのは『Creepin’ In』ぐらいですかね。あと、Tom Waits(トム・ウェイツ)のカバーの『The Long Way Home』もソフトなカントリーだけど、Dixie Chicksっぽい感じで好き。Dixie Chicksはこれまた私の大好きなバンドで、そのうち機会があればご紹介したいと思っています。

サード以降は音楽性が少しずつ変わっていくのですが、セカンドはまだまだファーストのカラーがしっかり残ってる感じ。そして相変わらずピアノの使われ方がジャズ。伴奏としてガッツリ弾くのではなく、ところどころ効果的にピアノの音色が登場して憎いんですわ。ファースト同様、世界的なスマッシュヒットとなり、累計1000万枚以上を売り上げました。この頃はまだ今に比べてCDが売れる時代だったとはいえ、この数字はなかなかのものですよね。

 

その後、2007年にサードアルバム『Not Too Late』をリリース。こちらのアルバムは2007年にアメリカで最も売れたアルバムの第10位に輝きました。ちなみにプロデュースはファースト、セカンド同様、Lee Alexanderです。


Not Too Late

 

こちらのアルバムでノラはなんと、ほとんどギターで作曲をしたそうです。あまりにもピアノのイメージが強いノラなので、私的には結局驚きでした。ピアノと違ってギターは持ち運びしやすいから、ツアーにギターを持っていってツアー各地で作曲をしていったそうです。

こちらの『Thinking About You』がサードアルバムから最初にシングルカットされた曲。この曲は2006年12月にリリースされたのですが、メインストリームで活躍するアーティストの曲としては、初めてMP3ダウンロード形式で販売された曲のうちのひとつでした。今となってはごく普通というか、むしろメインの形態になったMP3ダウンロードですが、まだ全然10年も経たないうちに本当にテクノロジーも音楽の聴き方も変化しましたよね。

 

そして2009年に4thアルバム『The Fall』、2012年に5thアルバム『Little Broken Hearts』と順調にリリースを重ねていきますが、音楽性が少しずつ変化していって、特に5thではプロデューサーの意図もあって結構変化しました。端的に言うと、年々ジャジーさが薄れていってカントリー色やロック色が強くなり、初期のファンにとってはだんだんピンと来ない感じに変わっていったんですね。かといって、何も変化のなく似たようなアルバムを何度も出されてもつまらないし、難しいところですよね。

ありがちな話ですが、ファンの間でも昔のほうがいいとか今のほうがいいとか色々と言われてます。ただ、ひとつだけ確実に言えるのは、どのような音楽性の変遷を辿っても、彼女の唯一無二のボーカルは変わらず素晴らしいということです。

 

実はノラは映画にも出ています。2007年に公開された初主演映画『My Blueberry Nights』は映画館まで観に行きました。相手役があのJude Law(ジュード・ロウ)、そしてあのNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)まで出演しているというのに、日本ではあまり話題になりませんでしたね。

なんてことないストーリーとオシャレな音楽で、おもしろいかつまらないかって言ったらつまらないほうに入る映画なのかもしれませんが(笑) 私は個人的に好きでした。とにかくオシャレ感が満載の映画で、ここぞという山場もないストーリーだったのに、なぜか忘れられない映画のひとつであります。主人公の生き方に憧れる部分もあって。

その『My Blueberry Nights』のサントラもとても素敵なので、ぜひ聴いてみてください。Amazon または HMV または iTunes で販売中です。

ノラはソロ活動や女優活動のほかに、バンド活動もやっています。「The Little Willies(ザ・リトル・ウィリーズ)」っていうバンドはめちゃくちゃお勧めです。カントリー・ミュージックなので日本の感覚だとマニアックなジャンルになるのかもしれないけど、超かっこいいですよ!

 

巨匠・Ray Charles(レイ・チャールズ)とのデュエット曲『Here We Go Again』も一聴の価値ありです。こちらもグラミー章を獲得しています。レイ・チャールズは、この曲をレコーディングした年に亡くなってしまいました。

 

ザッとこれまでのノラ・ジョーンズの作品を並べただけの簡単なコラムですが、参考にしていただけると嬉しいです。ジャズピアニストとして、シンガーとしての活動のほか、バンドやコラボ、デュエット、女優としてなど幅広く活躍する彼女には大注目です。

 

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