Column | Alanis Morissette


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Alanis Morissette(アラニス・モリセット)のことを知ったのは、高校生の時です。地元カナダだけで活動していたAlanisは、1995年にアルバム『Jagged Little Pill』で世界デビューを果たし、グラミー賞にノミネートされたことで世界的に有名になりました。


Jagged Little Pill

 

その年のグラミー賞では、Alanis Morissetteは最も栄誉ある「年間最優秀アルバム賞」をはじめ、「最優秀女性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞」「最優秀ロック楽曲賞」「最優秀ロック・アルバム賞」を受賞しました。「最優秀ロック楽曲賞」を受賞した『You Oughta Know』を聴いたときはあまりピンとこなかったんだけど、とりあえずアルバム『Jugged Little Pill』を買ってみて再生ボタンを押すや否や、1曲目の『All I Really Want』で瞬殺されました。

こちらはライブ映像ですが、CD音源と変わらないクオリティです。Alanisの類まれなる歌唱力、パフォーマンス・スキルなどを堪能できる映像です。この独特な声と発声。ドラムもギターもガンガンで、ロック好きにはたまらないですね。

 

そしてアルバムを聴き進めていくうちに、『Hand in my pocket』『You Learn』『Ironic』『Wake Up』などの曲に次々とノックアウトされ、悶絶しまくりました。特に『You Learn』はサビが以下のような歌詞なのですが、当時思春期真っ盛りだった私にはものすごく響くものがあり、心のバイブルのようにしておりました。

You live you learn
生きて学ぶ

You love you learn
愛して学ぶ

You cry you learn
泣いて学ぶ

You lose you learn
負けて学ぶ

You bleed you learn
血を流して学ぶ

You scream you learn
叫んで学ぶ

 

Ironic』という曲の歌詞もまた、シニカルな感情になりがちな思春期真っ盛りには刺さりまくりでした。「Ironic」とは「皮肉」という意味なのですが、とにかく曲の最初から最後まで皮肉な出来事ばかりがひたすら並べられているのです。

「98歳になった老人が宝くじに当たった翌日死んだ」

「安全第一がモットーな男は飛行機に乗るのが怖かった。パッキングをして子供たちに行ってきますのキスをして、人生初の飛行機が墜落した時、彼は “まぁこれも悪くないか” って思った」

「理想の男性に出会った瞬間、彼の美しい奥さんにも会った」

「ナイフが必要な時の1万本のスプーン」

「結婚式の雨」

「支払った時に限って無料サービス」

「ちょうど別の選択をした直後にもらったいいアドバイス」

みたいな感じです。

 

アルバム『Jagged Little Pill』は全体的にドライでざっくりしたサウンドに、Alanisのパワフルなボーカルががなって、『Ironic』に限らず歌詞が全体的に皮肉たっぷりで。Alanis自身もこの当時20歳そこそこだったんだけど、若さならではのシニカルさとか自虐性っていうのかな。聴き手である私もそうだったけど、大人になると失われていくこの感覚がまだ十分に備わっていた頃に出会ったからこそ、Alanisの音楽は私の中にどんどん入り込んできたような気がします。

思春期の純粋で不安定なハートをガッツリつかまれてしまった当時の私は、毎日このアルバムばかり聴いてました。テスト勉強をしながら聴き、部屋の掃除をしながら聴き、必死に歌詞を解読して。メッセージ性の高い歌詞に衝撃を受けて、歌詞カードを何度も読んでいるうちに英語の勉強にもなって最高でした。

ちなみに『Jagged Little Pill』は全世界で3,300万枚も売れたんですよ! 桁違いすぎて見当もつかない数字だと思うけど(特に今の時代だと余計に)、とにかく当時は欧米のあらゆる国でこのアルバムが爆発的に売れていたということです。

 

そんなAlanisは、1998年にセカンドアルバム『Supposed Former Infatuation Junkie』をリリースしました。


Supposed Former Infatuation Junkie

 

こちらのアルバムも素晴らしいです。またまた1曲目からやられました。『Front Row』という曲なのですが、あまりのかっこよさに完全にノックアウトされました。ちょっと意味の分からないコードもツボだし(笑)、ボーカルアレンジも斬新だし。そうなんです。とにかく「斬新」という印象を受けました。

 

個人的には、Alanisのアルバムの中でこれがNo.1です。私の中で永遠の名盤! 音楽性ももちろんいいんだけど、歌詞の大人具合がちょうどいいのが高ポイントですね。ファーストアルバムは若者特有の荒々しさとか衝動性、攻撃性みたいのが強いし(だからこそ思春期の自分はハマったわけだけど)、サードアルバム以降は分別のあるまともな大人になってしまった印象で。そういう意味で、セカンドは若者の葛藤と大人としての包容力がバランスよく取れてる気がします。

この頃、Alanisがインドに行った影響で、インド文化だったか仏教だったかヒンズー教だったかに傾倒し始めたこともあって、サウンドがアジア寄りになっています。積極的にシタールなどアジアの楽器を取り入れて、メロディもコード進行もシンプル化してます。コンサートグッズもエスニックなデザインになってました。

このアルバムの中で一番好きな曲は『Joining You』かな。この曲はヤバすぎます。歌詞もメロディもギターも、どれを取ってもカッコイイにもほどがある。何百回聴いても、毎回心の底から痺れる。音そのものに対して痺れるだけでなく、切なさとか心が掻き立てられるような感情を呼び起こされます。

 

私は学生時代にロンドンに住んでいたのですが、Alanisがワールドツアーでロンドンに来てくれたことがあったので、貧乏学生にも関わらず無理して高いチケットを購入して観に行きました。憧れのAlanisを生で観て興奮して、コンサートの初めから終わりまで興奮状態でした。アジア人のちっちゃい女の子がビール片手に激しく興奮していて、周りの観客たちも笑っちゃってたと思います(笑)

さっきコンサートグッズがエスニックなデザインになってたって書いたけど、そのコンサートの時に買ったブレスレットがこちらです。めっちゃエスニックです。真ん中に書いてある「am」ってのは、Alanisのイニシャルですね。周辺に書いてある文字は、たぶんヒンディーの文字で「Alanis Morissette」って書いてあるんだろうなって想像してる。違ったらすみません。

 

セカンドアルバムのタイトル曲『Thank U』のジャケットも、たぶんヒンディーで「ありがとう」って書いてあるんだろうなって想像してる。これまた違ったらすみません。

 

セカンドアルバム以降から今に至るまで、Alanisは3枚のアルバム(合計5枚)をリリースしています。一応全部持ってるけど、サウンドがポップになっちゃってあまり好みじゃない……。あと、歌詞も悟りを開いたかのように穏やかになっちゃったし。歌い方も控えめだし。

5枚のフルアルバムの他、アンプラグド・ライブのアルバムとベストアルバムもリリースしています。ベストアルバムでは若い頃の激しさと大人になってからの柔らかさがバランスよく聴けるので、入り口としてはお勧めです。しかも私のめちゃくちゃ好きな『Still』という曲は、このベストアルバムにしか入っていません。


Collection

 

ところで1999年頃、Alanisは突然映画に出演しました。出演シーンは少ないんだけど、ストーリー的にはある意味一番重要な役柄です。『ドグマ』という映画で、かなり好き嫌いの分かれる作品だと思います。私は大好きでDVDも持ってるくらいなんだけど、とにかくクリスチャンの人は絶対に観ないほうがいいです。あと、18歳以下も観ちゃダメです(笑)

この映画には、『ハリー・ポッター』のスネイプ役で知られるアラン・リックマンも出演しています。アラン・リックマンも大好きな私としては、この “Alan & Alanis” という夢の共演っていうシチュエーションだけで鼻血が噴出します。しかもアラン・リックマンのメイクと衣装がすっげーーかっこいいの!!!!!

そんな私がアラン・リックマンにハァハァしてるこちらの記事「Song | Texas – In Demand」もご参考ください。『ハリー・ポッター』の記事も別ブログに書いたことがあるので、ご興味がある方は「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」をご覧ください。

あ、ちなみに『ドグマ』の主役はマット・デイモンとベン・アフレックです。かなり大物!


ドグマ [DVD]

 

で、この『ドグマ』の主題歌もAlanisが歌ってるんですけど、それが例の『Still』って曲なんです。「ベストアルバムにしか入ってない」って上で書いた曲。この曲がまた最高なんですわ。セカンドアルバムの時期に出した曲なので、オリエンタルな雰囲気がガッツリです。映画のテーマに沿って作られたからなのか、聴いてると解脱しそうになるような高揚感があるサウンドです。

※こちらのビデオでは『ドグマ』のハイライトシーンも楽しめます

 

以上、簡単ですがAlanis Morissetteのご紹介でした!

Alanisには思春期に多大なる影響を受けたので、私の青春時代の象徴って感じの存在です。象徴に数えられるアーティストは10人くらいいるんだけど(笑) それでもAlanisはかなり上位に入るほうだと思います。

Alanisを初め、Fiona Apple(フィオナ・アップル)や Sheryl Crow(シェリル・クロウ)など、本物の才能を持ったアーティストの音楽に若いうちに出会えたことで、感性が大きく磨かれたように思います。今でこそ、当時影響を受けたアーティストの音楽を聴く機会は減ってしまいましたが、それでも自分という人間を形成する上で大きなウエイトを占めていると思います。

誰でもそうだと思うけど、青春時代にハマったものって、人生の長きに渡って影響を及ぼしますよね。年を重ねるごとにひとつひとつの出来事に対して印象が薄くなったり、記憶に残りにくくなったりするけど、思春期に感じたことって強烈な印象を残すし、いつまでも細かい部分まで鮮明に覚えていたりする。

こうしてブログにまとめることで、懐かしい記憶を訪ねることができて楽しかったです。これからも自分の大好きな音楽をちょいちょいご紹介できたらなーって思います!

 


Sakiko Torii
About Sakiko Torii
BLOOMINT MUSICの運営者である鳥居咲子は、幼少期よりピアノと音楽理論を学び、ロンドンに音楽留学をした。現在は音楽記事の執筆、ライブ主催、楽曲リリースのコーディネート、メディア出演など、韓国ヒップホップに関する様々な活動を展開している。著書に『ヒップホップコリア』。音楽以外に関するネタを集めた趣味ブログ『BLOOMINT DIARY』も運営中。別名ヴィヴィアン。
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