Lily Allen (リリー・アレン)

Written By Sakiko Torii

今日はLily Allen(リリー・アレン)について書こうと思います。

強いコックニー(=ロンドンの労働者階級の英語)で歌うのが特徴のイギリス人シンガーです。イギリスの国立図書館に、コックニーの資料としてリリーのCDが貯蔵されているくらいです。コックニーについては別ブログでちょっと詳しめに説明したので、こちらからどうぞ。

20歳の時にリリースしたデビューアルバム『Alright, Still』では、スカの要素をふんだんに取り入れていて、歌詞も遊び心が満載で、「すごい子が現れた!」って感じでした。こんなに若いソロシンガーの女の子がスカをやるなんて、意表を突かれた感じでした。こういうことがあるから、洋楽からなかなか目が離せないんですよね。日本や韓国は欧米の真似をすることが多いので、新たなトレンドを生み出す新人が出てきづらいというのがあります。

ただ、リリー・アレンは音楽的には素晴らしいのですが、性格にだいぶ問題があって……。音楽的才能は半端ないんです。正真正銘のアーティストと言えます。だけど性格がアレなせいでキワモノ扱いされてるっていうか、でも結局そういうところも含めて正真正銘のアーティストっていうのかしら。ま、つまりキワモノです(笑)

 

ステージで吸う

 

吸う

 

やっぱり吸う

 

酒飲む

 

キュートな衣装(?)でも飲む

 

酒以前に、衣装!

 

尻出す

 

乳出す(配慮して隠しました笑)

 

アイメイク!

 

アイメイク??

 

ググると他にもおもしろい写真がたくさん出てきますよ~。

 

Lilly Allen エピソード集

  • 素行の悪さが原因で転校13回
  • 10代の頃、バカンスで訪れたイビザ島にそのまま住みついてドラッグを売って生活
  • デビュー後、アルバムがヒットしてたくさん稼いだのに、1年間で洋服に1,500万円も遣うという散財っぷりで一文無しに。銀行も貸してくれずカードも止められた
  • パパラッチの顔面を殴って逮捕
  • 運転中にパパラッチに追跡されたとき、車から降りてペットボトルを投げつけ、殴りかかり、キック
  • 授賞式で一緒に司会を務めたエルトン・ジョンから飲酒や態度を注意されたところ、「引っ込め、エルトン! 私はあんたより40歳も若いんだ!」と暴言

 

こんなどうしようもないリリーですが、音楽の才能は本当にすごいんです。父親はコメディアン兼俳優、母親は映画プロデューサーという家庭に生まれたリリーは、幼少の頃から聖歌隊をはじめ、バイオリン、ギター、トランペットなどの英才教育を受けて音楽の才能を磨きました。

そんなリリーの魅力はなんと言っても楽曲の完成度。往年の名曲をサンプリングしたり、スカの要素を取り込んだり、一曲一曲の作りがなかなか凝っています。ハーモニーの構成もトリッキーでおもしろいです。キワモノなイメージと相反するポップなサウンドもいいです。歌詞も独特の切り口で風刺したり皮肉ったり、描写がとても詩的だったり、詩としての完成度が高いです。韻の踏み方もうまいです。それから声もいいですね。キレイな声ってわけではないですが、独特で魅力的な声だと思います。そしてやっぱり冒頭に書いたように、コックニー訛り!

言葉でごちゃごちゃ書くより、曲を聴くほうが早いと思うので、2006年にリリースされたデビューアルバム『Alright, Still』から数曲を紹介したいと思います。

 

Smile

アルバムからのファーストシングル。デビュー曲にして、イギリスで1位を獲得しました。1960年代のバンドThe Soul Brothersの『Free Soul』をサンプリングして作られています。リリーらしい皮肉たっぷりの歌詞で、自分を捨てた元カレが今泣いている姿を見て「笑っちゃう」ってことで「Smile」なんです。「あなたの泣き顔が私を笑顔にさせる」という強烈なパンチライン。レトロなサウンドとリリーの柔らかな歌声で、爽やかに皮肉ります。

 

LDN

Londonの略で「LDN」です。カリブ海のPorroというスタイルを取り入れた軽快なチューンです。曲はビデオの0:41から始まります。ローリング・ストーン誌が選ぶ「2007年のベスト100曲」では見事30位にランクインしました。自転車で走りながら見るロンドンの街を皮肉交じりに描いたブラックな歌詞です(おばあさんがひったくりに遭ったりとか……)。

ちなみにこのビデオの冒頭で流れているBGMは『Alright, Still』に収録されている『Friend Of Mine』という曲で、私はその曲がものすごく好きで、ここでも紹介したくて仕方ないのですが、残念ながらミュージックビデオがないのです。アルバムを買ってください(笑)

 

Alfie

これもまた60年代のシンガー、Sandie Shawの『Puppet on a String』をサンプリングして作られています。そのおかげでレトロ感は抜群です。「Alfie」というのは俳優をやっているリリーの実の弟の名前で、そのAlfieのだらしなさを語った内容の歌詞です。「大麻で煙たくなった部屋で寝てる」とか「仕事もせずにゲームばっかしてる」とか呆れながら、Alfieの更生を願っています。そのわりにはミュージックビデオもファンタジーだし、リリーのセンス、最高です!

リリーって曲はポップなんだけど、サンプリングはガッツリやるし、歌詞もライムの踏み方がしっかりしてるし、サウンドには中南米のスタイルを取り入れてるし、だいぶブラック・ミュージックの影響を受けていると思います。

 

リリーはこの後、2009年にセカンドアルバム『It’s Not Me, It’s You』をリリースしました。ファーストアルバムの流れを継承してスカのスタイルを貫きつつ、ちょっとエレクトロっぽさも増えたり、ちょっとしっとりとした曲もあったりと、新しい姿を見せてくれました。

このアルバムはシングルカットもたくさんして、ヒット曲もたくさん生まれました。ファーストアルバムの時ほどのインパクトはなかったけど(やはり最初はとんでもない新人が出てきた、という衝撃があった)、安定のリリー節が炸裂した歌詞が賛否両論になりながらもアルバムは大きな話題となりました。とりあえずセカンドアルバムの中から代表的な2曲を貼っておきますね。

 

2011年9月時点で、これまで2枚のアルバムをリリースしているリリー。私生活でもいろいろゴシップ誌を賑わせていますが、それはそれでいいとして、今後も音楽の面の躍進を期待しています。

一概には言えませんが、昨今の流行音楽ではメロディメイキングが雑になって傾向があるように感じます。サウンドが緻密に作りこまれた曲は増えたけど、メロディは単調なものが増えたというか。機材頼みのビートメーカーが増える一方、音楽理論が欠如しているんじゃないかと危惧しています。もちろん全部が全部というわけではなく、そういう曲が増えてきたように感じるなっていう話です。一方でリリーの楽曲は、上記を聴くと分かると思いますが、サビのメロディーラインがキャッチーなんですね。丁寧にメロディメイキングがされているな~という印象です。そういうところが大衆音楽というカテゴリーにおいては伝統的で好きなんです。

とりあえず今回はほぼほぼファーストアルバム『Alright, Still』を中心にご紹介しました。このアルバムは全曲捨て曲なしで、どの曲もそれぞれの味があって超お勧めです。セカンドアルバムも捨て曲なしです。でもファーストのほうがおもしろいかも。とにかくアルバムを買って絶対に損はしません。きっと繰り返し聴き続けることになると思うので、迷わずポチッとな!

 


Alright, Still

 


It’s Not Me It’s You

 

writerSakiko Torii

BLOOMINT MUSICの創設者および編集長。韓国ヒップホップ・キュレーターとして執筆、ライヴ主催、音源/MV制作サポート、メディア出演など多方面に活躍中。イギリスに音楽留学していた本格派。著書に『ヒップホップコリア』。

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